外車でも安い自動車保険がある!料率クラスと保険料をゴルフと比較
いまだに「外車は保険料が高い!」と、まことしやかに話す人がいますが、現在の自動車保険においては、まったくのデタラメです。
確かに型式別料率クラス制度が導入される前の昭和の時代までさかのぼってみると、外車の自動車保険は、同一クラスの国産車と比べて明らかに高く不公平な保険料になっていました。
今では、国産車と外車を区別した保険料率は存在しないので、保険料が高くなることはありません。
しかし「外車は型式別料率クラスが上がりやすい」という現実問題があり、無事故の契約者が頭を悩ませる一因となっています。
この記事では、外車の保険料についていくつかの車種を例に、プリウスの型式別料率クラスと保険料を比較してみます。
また、保険料が安い外車の特徴と外車も安い自動車保険についても検討し探ってみましょう。
目次
自動車保険に外車と国産車の区別はない
自動車保険では、外車と国産車の違いを区別する保険料を設けていません。
車種ごとの保険料を区別しているのは、車種ごとに決められている型式別の料率クラスです。
料率クラスを決める自動車の型式は、車体の形状、搭載される原動機、駆動方式の3要素によって異なります。
したがって同一名称の車種でも、ハッチバックとステーションワゴンの違い、エンジンの違い、2WDと4WDの違いにより型式が異なってきます。
自動車の型式を決める3要素
2輪を除く乗用自動車の場合にて、型式を決める3要素について少し詳しく解説します。
【車体の形状】主に車検証に記載されているのは、次の3つの形状です。
ホロ型(コンバーチブル/ロードスターなど)
ステーションワゴン(ミニバン/1BOX/ボンネット型ワゴンなど)
自動車メーカーでは、自社で車体形状の区別を容易にできるよう、車検証上における3つの形状区別よりもさらに、車体形状別に異なる型式を用いることが一般的です。
【原動機の種類】
ディーゼルエンジン
ハイブリッド
モーター
ガソリンやディーゼルエンジンでは、ターボなど過給器の搭載による違いがあり、ハイブリッドにおいては、その方式による違いで型式が異なる場合があります。
【原動機のマウントと駆動方式の違い】
2WD
(FF:フロントエンジン フロントドライブ)
(FR:フロントエンジン リヤドライブ)
(MR:ミッドシップ リヤドライブ)
(RR:リヤエンジン リヤドライブ)
4WD(または、AWD)
(原動機のマウントは、フロント、ミッドシップ、リヤなどがあります)
上記の駆動方式の違いにより、型式は異なってきます。
原動機のマウントや駆動方式は色々ありますが、一般的には、フロントエンジンのFFと4WDが一般的です。
リヤドライブ雅趣になるクルマは主にスポーツタイプのクルマ、または、大型の4WD車となっています。
OEM車による型式の違い
同じメーカーの販売店別に設定されたクルマの場合、同一型式を指定することがほとんどですが、メーカーをまたいだOEM供給のクルマは、型式がそれぞれに異なります。
このことにより、メーカーが販売を意図するユーザー層の違いも区別することが可能になり、利用者層によるリスクの差異にも「型式別料率クラス」は、柔軟に対応できています。
自動車保険料と自動車の型式
型式を決めている要素の中に、外車と国産車の差位は見られません。
したがって外車、国産車による保険料の違いは生じないということになります。
型式を決める要素を見る限り、自動車保険料が外車にだけ不利になるような要素もなく、一概に外車の保険料が高くなるということはありません。
外車の型式別料率クラスを見るポイント
現在の自動車保険においては、型式ごとのリスク区分により外車と国産車の区別なく、公平な保険料率が設定されるようになっています。
型式別料率クラスは、毎年1月1日付けで、保険会社ごとに提出される型式ごとの事故の保険データをすべての損害保険会社から「損害保険料率算出機構」にて集計し、型式別の損害率を算定しています。
つまり、型式ごとに適用されている「型式別料率クラス」が適正であるかどうかの見直しは、1年ごとに第三者機関によって公平に算出されているということになります。
料率クラス見直しの要素となる損害は?
見直し根拠となる損害の要素は、対人賠償、対物賠償、搭乗者傷害(人身傷害)、車両損害の4つに分けられ、型式ごとの予定損害に対する実損害の増減を元に次年度の料率クラスが決められています。
わかりやすくまとめると、損害要素ごとの損害予想に対し、実損害の増減で料率クラスが決まるということです。
新車時の料率クラス
新車時の料率クラスでは、過去の同一クラスの平均的な料率クラスを適用されることになります。
外車の場合において新車車両価格が高い車種では、同一クラスのクルマよりも料率が高くなり保険料が高くなることがあります。
これは、外車だからという理由ではなく、新車車両価格が高いのが理由です。
新車の車両価格がそのクルマのパーツ代や修理時の工賃など基本ベースとなるため仕方のないところです。
外車の料率クラスを見る際のポイント
保険料の違いは「型式別料率クラス」のクラスわけにより生じることとなりますが、そのクラス分けでは、外車特有のポイントもあります。
外車もメーカーにより扱いも変わり、正規輸入車、非正規輸入車(並行輸入)などに違いも料率クラスに反映します。
まったく同じ車でも正規と非正規では型式が異なるため、料率クラスが異なってくるので注意が必要です。
また、非常に少ない台数しか登録されないクルマでは、1台ごとの事故が料率クラスの見直しに影響します。
つまり少数しか販売されない外車は、料率クラスが上がりやすくなると考えられます。
メルセデス・ベンツのCクラスやBMWの3シリーズは、もっともポピュラーな外車と言ってもいいでしょう。
過去の販売台数も多く、外車のベストセラーといっても過言ではありません。
しかし、この2車種は、車の大きさやエンジンの排気量だけでは、判断できない高価なクルマのひとつです。
この2車種に限らず、メルセデス・ベンツ、BMWといった自動車メーカーのクルマは、すべてが高級車として取り扱われるため、料率クラスは高めです。
こうした自動車メーカーでは、必然的に部品代も高価であり、損害時の修理においても工賃が割高となります。
これは、外車だからではありません。レクサスなどの国産高級ブランド車においても同様の傾向になっています。
また、アキュラ(ホンダ)、インフィニティ(日産)など外車として取り扱われる、日本メーカーの輸入車も同様と考えておいて下さい。
こうしたポイントにより外車は保険料が高いといったウワサが立つことになっていますが、外車でも大衆車としてポピュラーなVWゴルフ、フィアット500などは、新車車両価格に比例した料率クラスが適用されており、国産車同様の保険料になっています。
外車の弱み、型式別料率クラスが上がりやすい
先にも少し触れましたが、外車でもっともポピュラーなVWゴルフにおいても、年間の新車販売台数25,635台(2015年度1位)です。
対して、プリウスの年間の新車販売台数127,403台(2015年度2位)となっており、事故の損害率は分母が大きいと変動が少なくなるため、料率クラスの見直しへの影響も少なくなります。
ちなみにプリウスの料率クラスは「車両5、対人4、対物5、傷害4」です
外車の新車販売台数トップのVWゴルフでは、料率クラスが「車両5、対人4、対物3、傷害4」(1.2L TSI)となっており、かなり優秀です。
しかし、販売量はほぼ同じだがスポーティなイメージの高いBMWミニの料率クラスは「車両5、対人4、対物5、傷害4」(mini One)でした。
ミニの新車販売台数21,083台(2015年度2位)です。
つまり、販売から数年経過すると「型式別料率クラス」は、新車車両価格やグレードだけにとどまらず、損害状況によって見直されることがわかると思います。
外車は型式ごとの販売台数が少ない
ちなみにVWゴルフ、BMWミニどちらも200万円台から多種多様な機種を作っていることからクルマの形状、原動機、駆動方式などが多様化されています。
したがって型式も複数存在しているため型式ごとの実販売台数は、さらに少なくなります。
プリウスの場合は、それほど多種多様な型式で展開していませんので、型式ごとの販売台数はかなりの数に上ります。
車種ごとのユーザー層によって事故は増減し、損害率の増減により料率クラスが変動しやすいのが外車の弱みとなっています。
事故が少ない外車は料率が下がる!
先のVWゴルフのグレードは、1.2L TSI(型式:AUCJZ)の料率クラスです。
2013年より発売している車種ですから、長い間事故の少ない安定的なユーザーが多いと推測できます。
外車購入の場合、料率クラスと発売開始からの年数を見ると、事故の多い車と少ない車がある程度推測できますので、車種選びの参考にして下さい。
外車12車種VS国産3車種の料率クラス比較
現行で販売されている比較的ポピュラーな外車12車の代表的な車種と、販売台数の多い国産3車種の料率クラスを表で比較してみましょう。
外車12車種の型式別料率クラス
こうして表で比較してみると、国産車に比べて車両クラスがわずかに高いことがわかります。やはり外車の保険料は高いのでしょうか?
しかし、対人・対物賠償の料率クラスは、比較的低くなっていることが見て取れます。
多くが3~4クラスとなっており、5クラスはまれといえます。
車両クラスが高くなる理由は、車両保険の付保率が高く事故で車両保険を利用する割合が少し多いということ。
しかし、事故は全体的に低く対人対物事故の損害賠償は低めであるといえます。
つまり、販売台数が国産車と比べて少ないので、付保率の高い車両保険の利用率がわずかながら高くなる傾向があり、かつ、修理時に使うパーツや工賃水準が国産同クラスより高めになることが要因になっています。
決して、国産車より事故が多いということではなく、1事故あたり車両保険の支払い金額が高めになることと、登録台数が少数となるため損害率への影響が出やすいということが、車両料率クラスが高くなる理由です。
外車の保険料が高いというわけではありません。
VWゴルフVSトヨタプリウスの保険料比較
それでは、実際の保険料について見てみましょう。
車種と被保険者の設定については、以下の内容をご確認下さい。
(※ネット査定は、ネット割引が適用されて、お店よりも安くなるのでオススメです)
どちらの車両も300万円で試算しており、車両価格ではほぼ同一クラスのクルマです。
しかし、料率クラスにおいては、VWゴルフの方が低くなっているため、保険料は総合的に安くなっています。
VWゴルフのような、デビューより数年立っている外車で料率クラスが低い場合、国産の販売台数が多い車と比べても保険料が安くなります。
こうした外車は、他の車種、型式でもありますから、購入前の比較検討でも参考材料にしてみて下さい。
外車の型式別料率クラスを調べるには?
現在最新の型式別料率クラスを調べるのには、今回試算したSBI損保のWEBサイトで試算するとかんたんに知ることができます。
しかしダイレクト自動車保険のWEBサイトでは、車種ごとにその都度試算する必要があるので、試算が面倒だという人は自動車保険の一括見積もりのサイトを利用して見積もりを取り、電話やメールで相談すると良いでしょう。
自動車保険料の安い外車の特徴
自動車保険料が安い外車は、型式別料率クラスの低い車を選ぶことです。
しかし、どの外車の料率クラスが安いかは、選んで試算してみなければわかりません。
当ページでも12車種に絞って料率クラスをご案内しましたが、毎年見直されるので、常に新しい見積もりを取って確認するようにしましょう。
比較的料率クラスが安い外車は、次の点を確認しながら選ぶと見つけやすいです。
・30歳以上のユーザーが多い車種で、車両料率クラスが5以下であること。
・対人と対物の料率クラスは3以下がおすすめ。
なお、車両クラスが6以上で、対人クラスまたは、対物クラスが5以上の車種は、事故による料率クラスアップが顕著な傾向がありますので、今後も料率クラスが上る可能性は否定できません。
外車でも安い自動車保険を選ぶなら?
ここまで色々と書いてきましたが、外車を選ぶユーザーの場合、少々保険料が高いからといって他の車種に変えることはないはずです。
輸入車のディーラーで新車販売をしていた筆者の経験からですが、ほとんどのユーザーは保険料が多少高くとも、好きなクルマを選んでいました。
私自身も車好きの方ですから、予算がかなえばBMWやアルファロメオを躊躇なく選ぶと思いますので、保険料の安い車を選ぶことはないはずです。
そこで検討したいのは、安い自動車保険を探すという選択肢です。クルマはもっとも欲しい外車を選び、保険会社をもっとも安いところで加入すれば、それが最良の選択となり満足できるはずです。
外車で安い自動車保険を探しているなら、まずは、WEBサイトで試算して比較してみると良いでしょう。
面倒な人は、一括見積もりサイトを利用すると、比較的かんたんに見つけることができます。
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