ご法度!ひき逃げの罪と厳しい厳罰
ひき逃げで失われる被害者と自分の人生
ひき逃げをする人の多くが「人を傷つけてしまい恐ろしくてその場から逃げた」と言い訳をしますが、それで言い逃れすることはできません。
ひき逃げを起こす犯罪者の多くが、飲酒運転行為の発覚や、人身事故の減点により免許証の停止や取消を恐れて、自分可愛さに「負傷者を放置して立ち去る」と言う非人道的な行為を行っています。
速やかに救護することで、助かる命や大きな障害を残すこと無く治療できる可能性が残されています。
「ひき逃げ」をすればわずかに残された望みを失いかねません。
速やかな救護を行えば助かる
現在の医療技術は、加速度的に進歩しています。
特に、労働災害や自動車事故などのアクシデントによる救命治療では、救急担当の優れた専門医による速やかな対応により、高い確率で命を落とさずに済むことが増えてきました。
また、搭乗者のみならず、歩行者や相手車両に対する衝突を緩和する外板構造を持ったクルマも日増しに増えており、速やかに通報することで命が守られる様になってきました。
人身事故を起こしたという過ちを償う必要や生じる責任から、免れることはできません。
しかし「ひき逃げ」をすることで、さらに罪を重ねることはもっと愚かな行為です。
交通事故は、加害者の過失を誠実に謝罪することで、許される機会や実刑を免れる可能性もありますが「ひき逃げ」は、許される可能性がほとんどありません。
逃げてはいけない
交通事故を起こしても絶対に逃げてはいけません。
運転をする人のみならず「ひき逃げ」が、いかに卑怯で罪深い行為であるかを、飲酒運転などと同様、社会的に許されない常識として知っています。
ひき逃げ犯罪は、事故を起こしたときに次の行為を怠ることで成立してしまうことがあります。
事故を起こしたら、負傷者の救護から通報を行い、実況見分まで確実に立ち会うことが大切です。
2014年5月から新たに施行された「自動車運転死傷行為処罰法(※)」では、飲酒運転をして事故をおこしたドライバーに対し、負傷者の救護や通報などを行わず、事故現場から逃げ出せば厳しい処罰が待っています。
※自動車運転死傷行為処罰法
自動車の運転により、人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の略称です。
著しい速度違反や飲酒運転などの危険運転や、ひき逃げなどの際立った悪質な運転に対し、厳しい罰則を設けた法律です。
法律の趣旨や罰則の内容など、別の記事にて詳しく紹介しています。
ひき逃げの処罰
・事故当事者による、負傷者の救護と危険防止の措置を違反した場合
5年以下の懲役又は50万円以下の罰金、また、事故そのものが運転者の運転に起因する場合、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
・事故報告の義務などに違反した場合
3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
・現場にて留まる義務の違反した場合
5万円以下の罰金
・過失運転致死傷罪(自動車運転過失致死傷罪)に問われる場合
7年以下の懲役もしくは禁錮、または、100万円以下の罰金
・危険運転致死傷罪
負傷:15年以下の懲役、死亡:20年以下の懲役
・殺人罪
死刑・無期懲役・懲役5年以上
ひき逃げに関連する、主な罪状になりますが、負傷者の状態が死亡や重い後遺障害に悩まされる状態ともなれば、その内容によっては併せて罪を問われることもあり、懲役刑などが上乗せされることも予想されます。
なお、飲酒や危険ドラッグなどを使用した状況で運転による事故で、その場から逃走を行うなど悪質なドライバーには、新たに施行された「自動車運転死傷行為処罰法」により厳罰が処されます。
ひき逃げによる運転免許の減点と取消期間
ひき逃げは重い犯罪とみなされ、その状況内容から減点点数と取消の期間が決められています。
その、減点と取消期間でもっとも厳しい内容となるのが、飲酒運転による「酒酔いひき逃げ死亡事故」です。
人身事故関連の減点は、通常以下のように定められています。
(違反の種類:減点)
傷害事故:-13点
死亡事故:-20点
ひき逃げ:-35点(救護義務違反)
酒気帯び:-13点(0.15~0.25mg )
酒気帯び:-25点(0.25mg以上)
酒酔い :-35点
減点は、併せて計算されることになるので、もっとも悪質とされる「酒酔い運転によるひき逃げ死亡事故を起こした場合」-90点となり、運転免許証は10年間取得することができません。
「ひき逃げ」は、交通事故という過ちの中で残された、被害者の未来への可能性を失わせ、加害者自身の人生を大きく狂わせることにもなります。
繰り返しますが、事故を起こしてしまったら、先ず目の前に横たわる負傷者を助けることに最善を尽くすことがもっとも重要なことであり、自らの保身は後回すにします。
一時的にその場から逃げても、95%以上捕まってさらに重い実刑になることに繋がります。
事故が起きた時の対応ひとつで、被害者と加害者双方の人生に最悪の結果をもたらすことにもなります。
事故発生時には保身を考えず、目の前にいる負傷者を救うことに最善を尽くして下さい。
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