1番安い自動車保険教えます

1番安い自動車保険の探し方を紹介しています。

なぜ懲役12年?葉山飲酒ひき逃げ事故に自動車保険は使えるの?


hikinige

飲酒運転やひき逃げ、無免許など悪質な運転により、人を死傷させる行為をより重い罪に問う「自動車運転処罰法」が施行されたのは、2013年11月でした。

しかし、それでもなお人の命を軽んじる悪質な運転行為は後を絶たず、尊い命が犠牲になり、また、重い障害を残し人生を過ごしていかなければならない被害者がいます。

今回の記事で取り上げる交通事故は、2015年8月23日に起こった「葉山飲酒ひき逃げ事故」です。

この事故は、神奈川県葉山町一色の県道にて、道路脇を歩行していた海水浴客の列に乗用車が突っ込み、3人を死傷させるという痛ましい事件でした。

2016年5月18日に行われた公判では、運転していた20歳の会社員稲葉竜也被告に対する罪状認否や被告質問が行われ、ひき逃げ後に飲酒運転の隠蔽工作を行なった理由などが明らかにされました。

本日24日に判決が言い渡される予定ですが、検察側からは懲役12年求刑ということから、世論から「短いのでは?」という声も上がっています。

この記事では、事故と起訴内容の根拠を検討し懲役12年求刑の理由を検討します。

また、被告の飲酒行為発覚免脱罪、救護義務違反(ひき逃げ)の理由となった、自動車保険の保険金支払いの可否について解説して参ります。

求刑が軽い!?危険運転致死傷などに問われ懲役12年求刑の理由

igiari

この事件は、1人が死亡、1人が重体、1人が重傷という極めて大きな事故となった理由が、被告の身勝手極まりない運転にあることは間違いのないところです。

「自動車運転死傷行為処罰法違反」の罪状のポイントを具体的に見てみます。

1.危険運転致死傷罪
2.飲酒運転発覚免脱罪
3.救護義務違反(ひき逃げ)
4.危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)

1.「制御困難運転致死傷罪」

単なる速度違反で直ちに「制御が著しく困難な速度」と判断されることはありません。

今回の事故では、制限速度が時速40キロのところ、時速78キロは出ていたと認められたことから、「制御困難な速度」として危険運転致死罪として立件が考えられます。

しかし、過去の判例では、概ね時速50キロ超えるものとなっており、今回の急カーブで曲がりきれない、歩道と車道が縁石やガードレールによって区分されていないなど、道路状況の考慮が重要になってきます。

2.「酩酊運転致死傷罪」

2013年の自動車運転死傷行為処罰法では、危険運転致死の範囲を拡大し、従来の「飲酒による盛況な運転が困難な状態」に加え、「飲酒による影響で正常な運転に支障が生じる恐れ」(※)、つまり、飲酒の影響で正しい運転ができないと疑われる状態であればこちらも対象になります。

※「酒や薬物、特定の症状を伴う病気の影響で、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で事故を起こした場合」に適用される

3.飲酒運転発覚免脱罪(最高刑懲役12年)

飲酒の事実を隠すために、事故発生後、現場から逃走し、重ねての飲酒や休憩、大量の水を飲むなどして、血中アルコール濃度を意図的に変化させる、いわば証拠隠滅の行為を行なったことに対する罪です。

4.救護義務違反(ひき逃げ)(最高刑懲役10年)

先の発覚免脱罪と同様、自分可愛さに被害者の命を軽んじる不埒な行為として重罪に処されます。

自動車運転死傷行為処罰法に限りませんが、様々な事故の現場において、その事故の責任を負う者が、現場を立ちさったり(逃げる)、証拠を隠滅したりする行為は、被害者の命がより危険にさらされることから、厳重に処罰する意向を示しています。

法律に限らず、日本人の道義的な観点からも世論が許さないため、裁判員制度による刑事裁判では、「卑怯者」への罰を重く考える傾向にあるようです。

自宅での飲酒は偽装!理由は自動車保険が支払われるか心配?

insyuzitaku

今回の事故を起こした稲葉被告は、事故発生からおよそ1時間後に「自分がはねた」と警察署に出頭、事故直後の取り調べでは、「事故を起こし帰宅後、怖くなって酒を飲んだ」と話しています。

しかし、5月18日の公判では、「逃走後にビールの空き缶を用意して、帰宅後の飲酒を装い飲酒運転だったことを隠そうとした」と答えています。その動機について、「飲酒運転が発覚すれば任意保険が使えず、大きな賠償金を負うことになる」と思っていた、ということで、最初の話しとくい違ってきています。

事故の原因「ライターを探すため下を向いた」の意味!

raita

稲葉被告は公判で、検察から事故原因についての質問に対し「ライターを探すため下を向いた」と話し、また、「酒を飲み音楽にノッて運転していたので、スピードの出しすぎに気づかなかった」とも述べています。

こうして見ると、傍若無人な振る舞いにより事故を起こしたように聞こえますが、この陳述によれば、危険運転致死傷罪の起訴に対し疑問を呈する形になります。

・ライターを探すため下を向いた
→事故原因は「わき見運転」を暗に主張、「制御困難運転致死傷罪」を否定

・音楽にノッて運転していた。スピードの出しすぎに気づかなかった
→「運転に支障はない」ことを暗に主張、「酩酊運転致死傷罪」の正常な運転に支障が生じる恐れは無かったことを訴えている

少し分かりにくいかもしれませんが検察の求刑に対し、被告が反証の「ボディーブロー」を打ち込んでいることは明らかです。

しかし、多くの検証が行われ関係者の証言も取れている現在において、このような陳述は裁判員、裁判官の心証を悪くするばかりです。弁護側に果たしてどういう意図があるのか疑問を感じるところでもあり、判決の行方が気になります。

判決は?世論から「短い!」と言われている求刑に情状はある?

hanketu

近年の危険運転致死罪への判決は、多くの場合被告に対し厳しい内容です。

過去には、非常に似たケースの事件で「2014年7月の小樽市のひき逃げ4人死傷事故」がありました。

この事故では、3人が死亡、1人が重傷を負い、現在も重い後遺障害に悩まされています。

罪状は、飲酒による「酩酊運転致死傷罪」と「救護義務違反(ひき逃げ)」による、併合罪として懲役22年が言い渡されています。判決後、被告側は判決不服として控訴しましたが、札幌高等裁判所にて「控訴棄却」とされました。

この事故の裁判において検察側から一審の求刑は、懲役22年でしたから一切の情状はなかったことがポイントです。

今回のケースでは、死亡者の数こそ違いますが、二人の重傷者を出しており、今もなお後遺障害に苦しめられています。

被告は、公判において神妙な態度で反省の態度こそ示していますが、危険運転致死傷罪を暗に否定するような陳述、飲酒運転発覚免脱罪を免れようと証言を転じるなど、誠実な反省をしているとは言いがたく、判決は重くなると考えられます。

筆者の見当では、懲役12年の求刑は軽いと捉えています。

従って、情状の余地はないと考えられ、求刑通り、または求刑を上回る判決が出るのではないかと思い期待もしています。

判決を問わず任意保険の対人賠償は支払われる!

harawareru

今回の被告の飲酒運転発覚免脱罪を免れようとする「いいわけ」に使われた、任意保険の保険金不払いの恐れですが、こういったことは一切ありません。

任意保険の対人賠償、対物賠償は、被害者救済の見地から運転者の飲酒行為や著しい速度違反などによる事故においても、損害賠償を行なってきています。

また、今回の歩行中として、事故の被害に巻き込まれたような場合、自身や家族の自動車保険に人身傷害補償(被保険自動車搭乗中以外も補償)があれば、相手の保険の有無や適用不適用に限らず、補償対応してもらえます。

今回のような事故は稀ですが、最近では、飲酒だけではなく治療中の薬の影響、運転操作の誤りなど、予想もしないような事故が増えてきています。

このようなニュースを見るにあたり、自身の運転のあり方、自動車保険の補償内容などをしっかり点検しておくことも必要と考えます。

↓ こちらで「各種保証」が付いた保険の最安値を【最大20社】から比較できます。

  関連記事