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自動車保険の任意保険とは?自賠責保険の補償と違うポイントを比較


自動車保険には、車の持ち主や運転する人が希望して加入する「任意保険」と、車検や新車の新規登録の際に加入が義務付けられた「自賠責保険」の2つがあります。

この2つの自動車保険の存在について、車を運転する際には必要不可欠というのが一般的な常識といわれています。

しかし、2つの自動車保険についての補償範囲とその内容の違い、未加入時の罰則や注意点などについては、あまり詳しく知られていません。

この記事では、「任意保険」について、「自賠責保険」との比較を見ながら、その補償範囲や内容、未加入時の問題点なども含め考察してまいります。

なお、今回の記事内容の「任意保険と自賠責保険」については、自動車の用途・車種が自家用の普通乗用車、小型乗用車、軽四輪乗用車、普通貨物車(最大積載量2トン以下)、小型貨物車、軽四輪貨物車、特種用途自動車(キャンピング車)、車検のある自動2輪車が対象になります。

原付バイクやその他の車種、法人向けの任意保険などについては、一部異なる点を考慮し参考にして下さい。

自動車保険の任意保険とは?

自動車保険でいうところの任意保険とは、加入が義務化されている自賠責保険だけでは足りない補償をカバーするために作られた、「車の持ち主や運転する人(以下:被保険者)」が希望し任意加入する自動車保険です。

補償の範囲と対象

任意保険の補償範囲は幅広く、被保険者が交通事故を起こし事故被害者に対し賠償義務を負ってしまった際に支払われる、「対人賠償補償」、「対物賠償補償」をはじめ、運転者を含む搭乗者がケガの治療等を対象とした「人身傷害補償」、「搭乗者傷害補償」を基本補償としてセット販売されます。

また、保険対象の車そのものが事故により破損した場合の修理損害や、盗難や台風や洪水などの水災害による損害を補償する「車両保険」を任意でセットすることができます。

加入義務はあるのか?

任意保険は、車検や新車の新規登録の際に強制的な加入義務のある自賠責保険とは異なり、加入に際しての法的な強制はありません。

したがって任意保険未加入で道路を走行したり事故を起こしたりしても、任意保険未加入による咎めは一切無いのが現実です。

一般的に「任意保険加入は車を運転する際の常識」と言われていますが、現実には、任意保険や任意保険に相当する自動車共済に加入している車の割合は、約9割となっており、一般に走っている約1割の車が、任意保険未加入の車、いわゆる「無保険車」というのが現状です。

ちょっと、恐ろしい話ですが10台に1台は、任意保険未加入で走っているということです。

とはいえ、未加入車両には、多数の車両を保有する法人なども含まれ、任意保険の加入に億単位の保険料がかかるような企業では、専任の事故担当者を置いて自社の事故に対応しているところもあります。

任意保険無加入の車でも上記のような大きな法人は、特殊な例ですが、一般個人で任意保険未加入の人も少なからず存在しており危ぶまれています。

任意保険には強制的な加入義務こそありませんが、万一大きな人身事故などを起こしてしまったとき、一般個人では容易に支払えない高額な賠償金を代って支払ってくれる、加入者個人の経済を保護する大変に有意義な補償があります。

任意保険と自賠責保険の補償はこんなに違う!

任意保険は、強制加入の自賠責保険の補償と何がどれだけ違うのか、表を参考に考察して見ましょう。

任意保険と自賠責保険、こんなに違う補償の範囲!

ご覧のとおり、自賠責保険の補償範囲は、対人賠償補償に限られており、下記のとおり最大補償額も限定的です。

→「自賠責保険の補償範囲」(対人賠償のみ)

傷害の治療費等:120万円まで
死亡:3,000万円まで
後遺障害:4,000万円まで

自賠責保険の不足を補うために作られた任意保険では、対人賠償の不足分を最大無制限での補償をはじめ、下記のとおり多種多様な補償がカバーできるように構成されています。

→「任意保険の補償範囲」

対人賠償:最大無制限(自賠責保険の補償額を超えた部分をカバー)
対物賠償:最大無制限
搭乗者用傷害保険:最大無制限(人身傷害保険の場合)
車両保険:車両協定価額に準じた限度額の範囲内
その他特約:それぞれの補償規定に準じた限度額

特約部分では、自動車事故の直接的な損害補償だけに限らず、事故の相手との交渉を弁護士に依頼する際の「弁護士費用補償」、自転車で事故を起こした際の補償を補う「個人賠償責任補償」など、多様化する個人のリスクをカバーできるよう工夫がなされています。

特約補償は、保険会社によって多種多様なので、以下の記事にて比較表と詳細な解説を行っています。合わせてご覧下さい。

【保存版2016】ダイレクト自動車保険9社の特約一覧(補償種類別)

コレで大丈夫!自動車保険の特約オプションおすすめ7選

補償以外の任意保険加入のメリットは?

保険金支払いという補償以外に任意保険加入のメリットは何があるのでしょうか?

それは、被害者との示談交渉と保険金仮払い、ロードサービスなど様々な付随サービスが大きなメリットになるでしょう。

例えば、歩行者と人身事故を起こしてしまった場合、医療機関への治療費支払いや被害者に必要と認められる緊急の仮払いなど、示談交渉前でも任意保険なら先行して先払いなどにも対応し、示談交渉の一助にもなるでしょう。

特に自賠責保険の補償支払いについても一括支払いで任意保険が肩代わりしてすべてを支払い、自賠責保険への請求もひとまとめにして対応してくれます。

また、事故に限らず故障などでも速やかな対応が期待できるロードサービスは、メカにうとい運転者には、心強い味方になってくれるでしょう。

ロードサービスの内容は損保各社により異なります。次の記事にて各社サービスの比較がご覧いただけます。

頼れる自動車保険のロードサービスは?損保18社とJAFの比較一覧

なお近年は、事故故障など緊急時の現場急行サービスを取り入れている損保も増えており、事故や故障時に立ち往生しても、ロードサービスにプラスして「警備会社の緊急対処員による専門的なサービスも受けられる」任意保険もあります。

任意保険の大きなメリットは、「車の事故や故障のときは、任意保険会社に連絡する」という、一般的なほとんどのドライバーに心強いサービスが付帯していることです。

自賠責保険だけでも大丈夫?

自賠責保険だけで運転しても法律的には、何ら問題ありません。

しかし、万一の事故や故障で立ち往生ということになれば、「あのとき任意保険に入っておけば・・・?」と、必ず後悔するはずです。

とある情報サイトでは、人身事故を起こす確率は低いからと「任意保険不要論」を展開している人もいますが、それは、現実を全く見ていない机上の空論で無責任な意見です。

事故の加害者、被害者のいずれかの当事者になった人を思えば、簡単に任意保険加入を否定することはできないでしょう。

実際に任意保険未加入の人が起こした死亡事故について、相談を受け、事故加害者、被害者遺族双方と接した経験のある筆者は、最低でも基本補償への加入が必須と考えます。

任意保険未加入のクルマの運行供用責任

自賠責保険だけでは、被害者への補償が足りないだけでなく、不足分の賠償金額により自分の経済が破綻してしまうことになるからです。

身を守るためにも自賠責保険だけで不安と共にドライブせず、任意保険に加入して運転しましょう。

任意保険だけでも大丈夫?

任意保険だけで運転してはいけません!

自賠責保険の期限切れ未加入の車は、一般的に「車検切れ」という状態になっており、道路を運行させてはいけません。(臨時運行許可証利用の運行を除く)

任意保険は、自賠責保険が切れている車検切れ(つまり整備不良)の車で事故を起こした際には、不適用になります。

そのようなケースでは、運転者が意図せずに「車検切れをうっかり忘れて」走行させて事故を越した様な場合もありますが、対人事故補償の基礎部分は自賠責保険に委ねられており、ほとんど例外なく補償は受けられません。

したがって任意保険は、自賠責保険と一体で機能する保険と覚えておいて下さい。

なお例外的ですが、車検切れの車でも道路の運行に使用せず保管中に盗難されたり、水没などの水災による被害が生じたりした場合は、車両保険金支払いの対象になることもあります。

まとめ:自賠責保険の不足を補う任意保険

任意保険は、自賠責保険(強制保険)では不足する、様々なリスクをカバーできるように作られています。

車を運転するリスクは、年々変化しており、近年の「予防安全運転支援機能」が付いた車では、自らが追突事故を起こしたり、急発進による事故を起こしたりするケースは少なくなります。

しかしその反面、車の値段は上がり、もらい事故を被った際に相手が無保険車の場合、自分の保険でカバーする必要も出てきます。

つまり、自分の身は自分で守ることもときには必要です。幸い、無過失の被害事故を被った際は、車両保険や人身傷害保険などを使っても等級ダウンしない特約を用意する、任意保険もあります。

任意保険加入の動機は、「事故を起こした際の相手への補償のため」とよくいわれますが、実のところ賠償義務の発生は、任意保険の有無や刑罰に関係なく加害者に課せられます。

したがって、最終的には、加害者自身の経済負担を軽減、肩代わりしてもらうために加入するというのが、任意保険加入の本当の理由になります。

突発的な事故で過失により、対人賠償などで大きな賠償金を負っても対応できるよう備えるため、任意保険への加入がもっとも有効な選択になるでしょう。

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