対人賠償の補償金額はなぜ「無制限」がいいの?
対人賠償保険は他人まかせで大丈夫?
万一のためにかけてる任意保険ですが、一般的にどのくらいの補償が必要なのかを考えたことがありますか?
また、あまり考えずに漫然と「対人無制限」とか「対物1000万」など、保険会社や代理店まかせで補償をつけていませんか?
自動車保険は、すべてが基本的に掛け捨ての保険ですから、せめて補償金額を決めるための根拠や理由は知っておく必要があります。
ここでは、対人賠償保険を掛けるときの補償額の目安を賠償事故の支払い事例をもとに考えてみましょう。
対人賠償補償の高額支払い事例
対人賠償補償は「無制限」でほとんどに人が考えてかけていると思います。
もちろん、当サイトもそれに異論はありませんし、ベストな補償金額としてオススメします。
参考までに補償の根拠になる、実際の対人賠償事故の支払いに関わる判例を見てみましょう。
【判決で認定された損害額 損害内容 事故発生年月 年齢と性別 職業】の順で記載しております。
・約3億6800万円 死亡 2002年11月 38歳男性 開業医
・約3億7900万円 後遺障害 2002年12月 23歳男性 会社員
・約3億4600万円 後遺障害 2003年 5月 25歳女性 会社員
・約3億6600万円 後遺障害 2004年 1月 14歳男性 中学生
・約3億2500万円 後遺障害 2004年12月 44歳男性 会社員
・約3億3400万円 後遺障害 2005年 7月 40歳男性 ITコンサルタント
・約3億9500万円 後遺障害 2007年 4月 20歳男性 大学生
・約3億5600万円 後遺障害 2007年10月 25歳男性 美容院店長
・約5億2900万円 死亡 2009年12月 41歳男性 開業医
2000年代に入ってから発生した人身事故の高額支払いの判例を10例ほど挙げてみました。
人身事故の判例の多くは、すでに1990年代から3億円を超える判例が増えています。そして、その多くが後遺障害による損害認定によるものが増えています。
後遺障害は、被害者の収入や年齢などを考慮した逸失利益だけでなく、今後将来にわたってかかる治療費と生活費が考慮されるために3億円を超える金額が急増しました。
しかし、それでも不十分という意見が聞かれます。
後遺障害の賠償金額については、職業や性別などの差は大きく影響しないこともよくわかると思います。
対人賠償補償の根拠
後遺障害による損害認定が増えている理由は、救命治療の能力向上によるものが大きく、今後も医療技術の向上と共に後遺障害への補償は増えると考えられています。
その他にも対人への衝撃を緩和するための衝突安全性能を考慮した車両などの開発が進むので、命を落とす人は減る一方で、対人賠償の保障額は確実に増加します。
残念ながら、自賠責保険の補償による、死亡3000万円、後遺障害4000万円だけでは、確実に足りないということもお分かりいただけると思います。
もちろん、任意保険の対人賠償補償は自賠責保険の不足を補うための上乗せ保険ですから、自賠責保険加入が前提であることはいうまでもありません。
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