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任意保険未加入のクルマの運行供用責任


ninihokenmikanyu

意外にも存在する運行供用責任

実際、任意保険に加入していなかったクルマがバイクと人身事故を起こし、不幸にもバイクの運転者が亡くなられた事故で、そのクルマの運行供用が認められ、会社側にも賠償責任が生じたケースがありました。

事故の内容については、後ほど詳しく解説しますが、クルマの持ち主が任意保険に入っておりませんでした。

そのために、自賠責保険の死亡保険金3000万円を超える対人賠償について、勤務先の会社側も運行供用者としての責任を問われ、相当の賠償金額が支払われることになりました。

では、事故発生から、対人賠償の支払い等を見てみましょう。

事故発生時刻午前7時52分過

事故の発生は東京都K区の都道の直線道路で発生しました。

事故の当事者は、乗用車を運転するHさん、中型バイクを運転するUさんです。

事故は、大きな幅員のある優先道路を進行中のUさんのバイクの直前に、左方の一時停止がある狭い道路から、Hさんが右折進入しようとしたために事故が起きました。

事故は、Hさんのクルマが直進するUさんのバイクの進行を突然さえぎる形となったため、激しく衝突しUさんは、その衝撃によって前方約20M先に投げ出されてしまいました。

緊急搬送され、半日以上の手術を受けましたが処置の甲斐もなく、3日後に亡くなられました。

Hさんのクルマは任意保険に入っていなかった

Hさんのこの事故について事故の相談を受けたのは、事故当日のお昼頃で、Hさんにクルマを販売したディーラーの販売員Kさんからでした。

相談の趣旨は「任意保険に入っていない顧客が大きな人身事故を起こしたらしいく何とかならないか?」というものでした。

何とかならないか?と言われても、なんともなりません。保険は事故が起きてから入ることはできませんし、そのような相談に乗る愚かな代理店もいません。

しかし、事故の初期対応などのノウハウはあるので、事故の被害者を救済する目的で事故現場に向かいました。

事故現場と主な事故状況は、自宅にいる父親に確認し父親同行で、緊急逮捕されているHさんの話が聞ければと警察署に向かいました。

警察署では、Hさんの話を聞くに至りませんでしたが、車両の車検証と自賠責保険の証券番号と保険会社を確認しました。

Uさんの入院する病院では、その時点で緊急手術がおこなわれている状況でした。
そこで、Uさんの勤務先関係者に話を聞くことができました。

双方とも通勤時の事故

その時点で得られた運行の状況を整理すると、次のようになります。

Uさんの運行目的は、通勤で東京でも有数の自動車ディーラーの社員であること。
会社は、バイク通勤を認めていたこと。
Hさんの運行目的は、通勤途中に取引先に商品を届ける為にマイカーを利用したこと。
会社は、マイカーの通勤・業務利用を黙認していたこと。
任意保険は未加入だが、自賠責保険加入の確認はとれている。

このことから、Uさんへの治療をできるだけすみやかに行うため、次の手続きを行いました。

・Uさんの会社関係者への労災事故として速やかに検討をしていただく旨のお願い。
・病院側に対し、健康保険並びに、労災保険、自賠責保険の対応となり任意保険の加入がないことの連絡です。

運行供用者責任

ケガの状況は深刻な状態でしたし、大変申し訳無いと思いましたが、事故に関係する人の中で最悪の結果を想定し、速やかな行動が必要との考えから弁護士への相談を行います。

弁護士からのアドバイスにより、運行供用者責任を問うことによってHさんの会社にも賠償責任を負ってもらうことを検討します。

訴訟などになった場合は、業務日誌や同僚の証言が鍵となるため、警察から釈放されたHさんに、業務日誌や日報の保管や当日朝の電話連絡、取引先の担当者の証言などを集め、運行供用者として会社の業務利用が有ったことの裏を押さえておきます。

Uさんの死亡

大変残念でしたが、Uさんは事故から3日後にお亡くなりになりました。

最終的には、Uさんのご遺族によって、Hさんと運行供用者のHさんの勤務先に対して賠償請求が行われることになりました。

この事故で利用されたクルマは、Hさんの個人名義でしたが「通勤途中に取引先にまわって商品を届ける」という行動予定を会社が予め認めていたことで、運行供用責任が生じました。

小規模な企業では、安易にマイカー通勤を容認し、ついでに業務の一端を依頼しているようなケースも見受けられます。

運行供用責任の視点から、従業員のマイカー利用の通勤では、運行供用責任なども考慮してマイカー通勤規定などにより、任意保険の加入などを義務付けるなど注意が必要です。

UさんとHさんの事故に際して

代理店を経験していても実際に死亡事故の当事者と接する機会は、それほど多くはありません。

この事故で筆者が感じ学んだことは大変多く、現在もこのようなカタチで微力ながら自動車保険の加入促進のお手伝いをしております。

痛ましい交通事故を避けるために最大限安全運転に努めることは、運転をする人の義務ですが、さらに、万一を想定して任意保険に加入しておくことも重要です。


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