路上駐車のクルマを避けようとして起きた接触事故の責任は?
路上駐車があったために起きる事故とは?
路上駐車しているクルマを避けようとして車線変更をしたところ、後方から近づいていたクルマと接触事故を起こしてしまいました。
後方への注意が不足していたために事故が起きたのは、運転者自身の過失と考えるのが妥当ですが、駐車しているクルマがなければ、車線変更をすること無く事故は起きなかったと思われます。
事故の当事者は、「自分だけのせい?」とイマイチ納得が行かないこともあるでしょう。
こうした、路上駐車のクルマがあることで起きた事故は、そのクルマを駐車させていた運転者に責任がないのでしょうか?
法的な過失責任を問うことができれば、事故の賠償に関わる過失責任も負うことになるので、事故当事者としては、クルマを駐車していた人にも責任を負ってもらいたいと考えるのも道理です。
後方から近づく車両の注意義務
駐車車両にぶつかった、ぶつからないがそのクルマが見通しを悪くしていて、先の危険を予測困難にしていた。
駐車中のクルマに関わる事故は、さまざまな形態があります。
過去には、夜間に通行料が少ない通りにおいて駐車していたトラックにバイクが衝突し、運転者が亡くなる痛ましい事故が発生して、その駐車車両に65%の過失責任が命じられた事故がありました。
しかし、本来後方から近づくクルマの運転者には、前方を注視して注意を怠りなく安全運転を行う義務があります。
そうした、本来の安全運転義務を考慮してもなお、クルマを停めた者の責任が重いとかんがえられる場合に限り、過失責任が生じると考えることが妥当でしょう。
バイクの追突事故では、夜間で有ったこと、バイクの運転姿勢により前方注視できる範囲が限定的であったことなど、バイク側の過失に対する修正が行われ、違法駐車が危険を生じさせたという結論に達しました。
この事故は、判決当時は社会的な影響もあり、大きく報道されたので記憶に残っている人も多いとおもいます。
バイク対大型のトラックという、状況から見てもやや特殊な例なので、日常に見られる駐車車両に乗用自動車がぶつかった場合にも同じ見解が示されることはありません。
基本的にはクルマやバイクの運転者には、前方を注視する安全運転義務が前提であり、事故を起こせば過失が生じることは言うまでもありません。
駐車車両の責任が問われる状況とは?
駐車車両の側に責任が問われるケースは、駐車している場所や時間、天候など状況によって左右されます。
たとえば、日中より夜間は見通しが悪くなります。
夜間、駐車車両があるために危険が増加すれば、過失責任が生じることにつながります。
また、駐車禁止の場所や交差点や路地の手前、公園などの出入り口付近など、人や他のクルマの出入りが予想される場所での見通しを悪くするような駐車も過失が問われる場合があるでしょう。
また、駐車の状態もクルマが斜めになっているなど路側に沿って駐車していない状態、歩道がない道路で歩行者の通行を妨げ、歩行者が車道に出て歩くことを余儀なくされるような駐車をしている場合などは、「駐車により危険を増大させた」と判断されることもあります。
クルマの持ち主に生じる責任
クルマには運転者の他に、運行に関わり利益を得る者があります。
そうした、状況にある者を「運行供用者」と呼び、会社が所有する営業車やトラックなどは、運転者以上に運行供用者の過失責任が問われるケースも出ています。
会社で従業員に営業車や貨物自動車など、クルマの運転を依頼している場合、駐車についても同様に運行供用者責任が生じています。
日頃から、安全運転の励行をうながすとともに、駐車などの行為により危険が生じる可能性をドライバーに話しをして、今後のクルマの運用に関してもマニュアル化することが必要になるでしょう。
今は、運転者任せですまないのが社会の常識です。
いつの日か自社のクルマが事故の原因を作り、人が死亡するような大事故を引き起こしてニュースになるようなことが無いよう、しっかりとしたクルマの運用ルールを作り、駐車とはいえ危険につながることがないように配慮していくことが大切です。
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