泥酔者が路上で寝ていたところをひいてしまった!責任の割合は?
道路に寝ている人を轢いてしまった!
常識では考えにくいことですが、道路に臥せっている人や泥酔者が寝ているということは、全くない話ではありません。
多くの場合、そのような状況は日中よりも夜間において発生し、不幸にも人身事故につながってしまいます。
このような人身事故では、被害者にも相当の過失が認められることがあり、運転者が一方的な加害者として扱われることはありません。
しかし、道路に寝るという、ある意味自殺未遂といえるほど危険な行為に及んでいる被害者に対して、先の判例による過失割合は、とても寛容です。
道路に寝ている人よりも運転者の責任が重い
このような事故の過失割合を見ると、日本の道路交通法は運転者に対しての責任を重視していることがよく分かります。
まず、このような形態の事故においての基本的な過失割合は、日中で30(人):70(車)、そして夜間において、50(人):50(車)、つまり五分五分の過失割合になります。
しかし、たとえ夜間であっても、街灯がある道路で一定以上の明るさが保たれた路上ならば、人の過失が10%減となることもあります。
その他、歩行者の過失責任を減じる修正要素として、住宅街・商店街にいては5%~20%減、幼児・児童・高齢者が10%~20%減、クルマの著しい過失や重過失においては、10%~20%減となっています。
歩行者側の責任がさらに重いと判断される修正要素は、幹線道路上で10%~20%を加えるようになっています。
さすがに幹線道路では、こうしたケースでの事故は少なく、比較的交通量が少ない道路で夜間に起きていることが多いようです。
過失割合について、検討してみるとやはりクルマの側に責任が重くなっており、たとえ道路に寝ている人であっても、轢いてしまって軽い責任で済むようにはなっていません。
思わぬアクシデントにつながるようなことがおきても、細心の注意をはらい運転しましょう。
自動車の著しい過失と重過失
先の修正要素において書いてある「自動車の著しい過失と重過失」ですが、具体的な内容を見てみましょう。
先ず、著しい過失とは、日常に起こしている違反を言っています。
たとえば、わき見運転や、15km程度の速度超過などがそれにあたります。
わき見運転はスマホの操作やナビの操作などでも引き起こされる「前方不注視」もこれにあたります。
また、その他にも比較的軽いと思われている違反の多くが「著しい過失」として取り扱われるため、よほど注意をして運転していなければ、人に10%減の修正要素が加えられます。
また、重過失は、わずかに注意を払っていれば、重大な事故を引き起こすこと無く危険を避ける事ができたと思われる状況があれば重過失に繋がります。
つまり、漫然とサイドウインドウからの景色を眺めながら運転をしていれば、漫然としたわき見運転と判断され、重過失として扱われます。
クルマの側の重過失は、人に20%減の修正要素が加わるので、日中であればそのひとつで、10対90の過失割合になります。
たとえ道路に寝ている人が相手でも、クルマの側に重過失と住宅街など場所の修正要素が加われば、「クルマに100%の過失責任あり」と言った結果になる可能性があるのです。
道路の中央をふらふらと歩いている人
寝ている人ほどの危険ではないが、気をつけたいのが道路中央をふらふらと歩く人です。
そのほとんどが、飲酒や薬、または病気などで、正常な意識を持って歩行していないことがほとんどです。
大きく避けたつもりでも、クルマに向かっていきなりかけ出す人もいるようなので油断はできません。このような歩行者との事故でも、クルマに対しての責任は重くなっています。
たとえば、8M以上の道路幅員の大きな幹線道路のような場所においても、その過失割合は20(人):80(車)となっており、幹線道路でも人に対しての過失が0~10%の修正が加えられる程度にとどまっています。
幅員8M 以下の細い道路では、10(人):90(車)なので、クルマの著しい過失によって人の過失は0%になることもあります。
道路に寝そべっていたり、ふらふらと歩くなど、飲酒で酩酊状態の人も事故の場合は、この内容に準じて過失を問われます。
このような歩行者を見たら先ず減速し、徐行運転で回避することを念頭に置いて運転しましょう。
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