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運転交代後で死亡保険金が出ない!家族限定が無保険車になる


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保険料が安い分リスクも高い運転者限定割引!運転者の交代で無保険車になる

2012年4月、福井県にて運転を交代したばかりに運転者を限定の自動車保険が使えないという、いたましい死亡事故が起きました。

助手席に搭乗していて死亡したGさんは、クルマの持ち主だったために自分のクルマの自賠責保険からも対人賠償が受けられない状況となり、大変気の毒な事故だと思います。

自動車保険の等級にかかわらず大幅な割引が期待できる「本人限定・家族限定割引」や「年齢条件」は、人気の特約の一つです。
しかし、今回の事故のように限定条件を付けていたために、肝心なときに保険が使えないという事故が増えてきました。

保険会社によって運転者限定の範囲は異なりますが、主に次のような範囲限定があります。
・本人限定
・本人+配偶者限定
・家族限定
・限定なし

今回の事故では、「限定なし」と「年齢条件と問わず補償」を付保しておく必要がありました。
しかし、2つの条件による保険加入はもっとも保険料が高くなるので、多くのドライバーは、運転者と年齢の条件を付けて保険加入しているのが現実です。

Gさんは、運転者限定を付けていた保険が「無保険車」になることを解っていたはずです。
過失責任を求められる部分ではありませんが、保険でカバーされないCさんが運転したことに大きな問題が有ったことは否めません。

事故の関係者について

この事故では、事故車両2台と事故の当事者(4人)が関係しています。

この事故に関係するクルマと人は以下のとおりです。
なお、アルファベット呼称については、裁判の判決文を基にしています。

・事故原因となった車両と搭乗していた人
車両:G車(所有者はGさん)
車両所有者:Gさん

運転者:Aさん(運転席、ケガ)
搭乗者:Gさん(助手席、死亡)
搭乗者:Kさん(後部座席、大ケガ)

・G車の対向車線はみ出しにより正面衝突した車両と搭乗していた人
車両:F車
車両所有者:法人E社(Fさんが代表取締役を務める会社)

運転者:Fさん(運転席、大ケガ)

自賠責保険も使えない!Gさんの遺族は補償が受けられない?

この事故で亡くなったGさんは、クルマの持ち主でした。
従ってクルマの運行供用責任が生じる立場でもあり、当然に自分名義の自賠責保険による対人賠償を受けることはできません。

Aさん運転のクルマの後部座席にいた知人と事故の相手Fさんには、自賠責保険の対人賠償が傷害治療の限度枠120万円までは支払い可能でした。
とは言え、同乗者の知人と相手のFさんは、両名とも骨折を負う重症でしたから、120万円で足りたとは到底考えられません。

また、Fさんのクルマも全損相応の損害を受けていますから、対物賠償も相当な額にのぼったはずです。

Gさん側の車両も全損となっておりますから、両方のクルマの損害金額は、車両の実損害だけでも400万円前後に達する程でしょう。
そのどちらの人身・物損ともに19歳のAさんの過失責任が大きいのですが、現実問題として任意保険が使えません。

この場合Fさん側は、クルマの所有者であり同乗中だったGさんに、運行供用者責を問うことができます。
つまり、運転を交代してもGさんは、クルマの運行に関して運行供用責任を負っていたことです。

しかし、亡くなっているGさんの遺族に生前の賠償責任を求めることは、被害者のFさんにとってかんたんなことではありません。

相手方の被害者側の賠償責任を求める!

亡くなったGさんとその遺族にとっては、後悔しても悔やみきれない「運転者限定」付きの自動車保険契約です。
今回の事故では、運転者や年齢条件によりAさんが運転した時点で全く役立たずの保険になっていました。

結果として、今回の事故でGさんの保険は、Gさん自身に全く使うことができませんでした。
そこで、やむなくGさんの遺族は、弁護士にそうだんして「自賠法」に基づいた相手運転者Fさんの所有者E社に、運行供用責任の確認と賠償責任を求めたということです。

自賠法は、交通事故によって死傷した被害者を救済する見地から立法されています。
一般常識として、過失責任が10対0の事故において、過失が100%の人が全ての賠償責任を負うと言うのがふつうです。
しかし、今回この常識を覆すような判決が出ましたので、今後の判例にも少なからず影響してくるかもしれません。

ただ、今回の判決結果による賠償額を見るからに、亡くなったGさんの年齢などから考えると少ないようです。
その理由は判決文を見てわかりました。

一つは、クルマの所有者である被害者Gさんも運行供用者としての責任が課せられたこと。そして、もうひとつは、シートベルト未装着によるものです。
実際、両車両の前面部を大破しエアバッグが展開した状況であったにも関わらず、シートメルトをしていた運転者のAさんは、奇跡的に軽傷で済んでいます。

シートベルトをせずにシートを倒して仮眠をしていたGさんの落ち度として、賠償額が減免されたことは、致し方ないところでしょう。

昨今の任意保険では、リスク細分化が進み一般化した「運転者限定」ですが、このような使用方法において全くリスクをカバーできないことが有ります。
自動車保険は、保険料だけにとらわれずクルマの使い方に応じた契約内容にすることが重要です。


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