安全対策のために生まれたフロントガラスと技術
フロントガラスが担う役割
黎明期に製造された自動車には、現在のフロントガラスに相当するシールドがありません。
走行中の飛来物などに対して何も保護するものがない状態で走行していたということですが、この時期のクルマは、最大でも時速20キロ程度出せれば上々でした。
したがって、前方から高速で飛来物が飛び込んでくる心配は無かったものと思われます。
しかし、最初のガソリン自動車販売からわずか10年程度の間に空気入りタイヤの開発やエンジン性能のアップにより、クルマはあっという間に最高時速50キロを超えて行きます。
19世紀末には、最高時速100キロを記録したクルマも登場してきます。
クルマを運転する人、乗る人は、強い風から目を守るためにゴーグルを装着して自動車の運転をすることになります。
ウインドシールド装着車の大量販売
史上初の大量販売で成功したT型フォードは、安価に量産された車でありながら、ウインドシールドを備えた、乗員の安全性も考慮されたクルマでした。
このT型フォードを始めとして20世紀初めに販売されたクルマの多くがウインドシールドを装備しています。
日本では一般的にフロントガラスと呼ばれていますが、ヨーロッパ大陸、アメリカ大陸を走ったその時代のクルマたちの装備はウインドシールドと呼ばれる「風防」だったことを意味しています。
しかし、形状はいかにもガラスの衝立であり、今のクルマのようにデザインや空力は、全く考慮されていませんでした。
フロントガラスが担う安全
現在の自動車のフロントガラスは、風を防ぐことの他、飛び石や虫など外からの飛来物から搭乗者を守る役割を担っています。
さらに付け加えれば、次のような事故防止対策に寄与しています。
1987年に制度化された安全合わせガラスの採用により、フロントガラス破損による視界不良による事故や2次災害の抑止。
搭乗者の車外放出の抑止と、対人対物事故発生時に車外から車内に衝突物が飛び込むことの抑止。
また、それ以前に採用されていた部分強化ガラスの粒状破損による視界不良やケガの抑止が挙げられます。
安全運転のためのフロントガラス
現在から今後フロントガラスはシールドだけではなく、情報表示の投影、危険情報の取得機能などを、他のデバイスと機能を共有することで、安全走行のかなめとなっていく機能ツールになっています。
既にフロントウインドウに上部に前方車両との衝突回避のためのレーダーやステレオカメラを装備した車両やナビ機能や車両の現在情報などを機能的に運転者の運転視界範囲に投影する装置が実用化されています。
フロントガラスがこれほど安全に寄与しているなんて、少し感心してしまいますね。
ちなみに車両保険の飛び石によるガラス破損は、1等級ダウンの事故として取り扱われます。
フロントガラスが破損したとき、機能パーツが組み込まれていると交換に思わぬ費用が発生することが有るので、エコノミータイプも考慮して車両保険をしっかり検討するようにしましょう。
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