初期の自動車は、制動装置が駐車ブレーキ並だった!
馬車から生まれたブレーキシステム
出したスピードを止めることが自動車に求められる安全の必須条件です。
どんなに高性能なエンジンや装備を持っていてもブレーキが効かない車には、乗りたくありません。
もう少し分かりやすく言えば、フェラーリやポルシェでもブレーキが効かない状態なら、走らせることもできず、無理に走っても全く楽しいとは思えないでしょう。
初期の自動車に装着されたブレーキは、後輪に直結したドラムを革ベルトで締め付けるものでした。
また、馬車と同様車輪外周を木製のロッドなど、摩擦材を押し付けて止める物もありました。
いずれも現代のクルマに置き換えれば、駐車ブレーキ並、またはそれ以下の制動力です。
速度が出なければ問題ない
初期の自動車で使われていたブレーキシステムは、速度が時速15キロ以下のレベルなら問題ない制動力を発揮しました。
その時代、交通渋滞や高速道路もなく、馬車と同程度の速度で走り、馬車と同程度の制動力があれば問題なく走ることができたのでしょう。
時速15キロ程度までで、さきの革ベルトで締め付けるブレーキなら、馬車と同様のシートからずり落ちること無く十分に機能したものと思われます。
しかし、自動車の性能は日々向上して行きました。
また、ダンロップによる空気入りタイヤの発明やミシュランによる量産品が確立されると、路面との追従性も飛躍的に高まり、一層のブレーキ性能が求められるようになります。
安価で良く効くドラムブレーキ
現在のクルマに多く採用されてるブレーキ装置の1つが、ドラムブレーキです。
ドラムブレーキは、現在も多くのクルマに採用されている、もっともベーシックなブレーキシステムです。
ドラムブレーキの最大の長所は、サーボなどを用いなくとも自己倍力作用が働き、低コストで装備することが可能なことです。
強力な自己倍力作用があるので、一般乗用車の後輪に採用され駐車ブレーキとしての動作時にも安心です。
欠点は、放熱に劣るため連続使用時にフェード現象やベーパーロック現象を引き起こす時があります。
その為、スポーツ走行などには向かず、箱根ターンパイクなどに代表される長い下り坂では、エンジンブレーキと併用することが必須となります。
フロント軸重が重いFF車や車重のあるクルマでは、前輪にディスクブレーキ、後輪にドラムブレーキと言う組み合わせが、スタンダードになっています。
放熱に優れたディスクブレーキ
ドラムブレーキの欠点である、放熱性を補うのがディスクブレーキです。
しかし、ディスクブレーキには、倍力作用が働かないので吸入負圧を利用した真空倍力装置、ABSを作動させるための電動ポンプの油圧を利用した倍力装置が必須です。
軽量な車であれば、倍力装置なしのディスクブレーキでも機能しますが、一般的なドライバーでは、制動力がバラついてしまうので、現代のクルマは全て何らかの倍力装置が装着されています。
温度変化にも強く、車輪の水没時にも比較的安定した制動力が見込めるので、現在の乗用自動車では、前輪または、4輪全てに採用されています。
ブレーキを利用した安全装置
現代では、ABSシステムの応用として、横滑り防止装置やトラクションコントロールシステムが低コストで装着することができるようになりました。
20年ほど前なら、最上位機種のオプション設定で選べるぐらいの機能が、現在は標準化しています。
このことにより、今後さらに交通事故の減少と損害の低減が期待されています。
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