自動ブレーキの動作が甘く追突してしまった場合はだれの責任?
過信は禁物!自動ブレーキは衝突軽減の補助装置
2015年8月現在、自動ブレーキは主な乗用車と軽自動車まで普及が進み、多くの車種で選択できるようになりました。
しかし、この自動ブレーキシステムには、前方車両との距離を測定する装置や実際に動作が可能な速度など、車種ごとに大きく開きがあります。
日本の自動車アセスメント(以下:JNCAP)のサイトでは、予防安全性能アセスメントの自動ブレーキの試験動画を試験結果の評価と共に公表しています。
確認してみたところ、各社、各車両の試験結果にはとても大きな開きがあり、正直驚かされます。
一般に「自動ブレーキ」と呼ばれている装置も「被害軽減ブレーキ」となっており、実際は、追突時の衝突による損害を軽減させるものとしていることが分かります。
しかし、被害軽減の程度について各社間の認識に開きがあるようで、スバルではステレオカメラシステムを装着した乗用車全車がほぼ満点のポイントを獲得しています。
時速60キロから前方車両を模したダミーに触れず見事に停止しています。
それに引き換え、軽自動車は、時速20キロからはほぼ全車が止まるのですが時速30キロの試験では、多くがダミーに追突しています。
唯一、2015年7月にマイナーチェンジとともに自動ブレーキのシステムを全面的に一新し、スバル同様のデュアルカメラを装備したスズキスペーシアが、時速50キロからの追突も防ぐことができています。
このように現状の自動ブレーキは各社間で効果に違いが有るので、大きく期待するのではなく、
万一の際に被害を軽減してくれるシステムと認識しておきましょう。
自動ブレーキがかかっても止まらないクルマ
前項にて記載のJNCAPの試験を見てもらうとよく分かりますが、スバル以外ではトヨタ、日産のごく一部の車種を除いて、ほとんどの車が前走車のダミーに追突しています。
そかし、強弱の差はあれブレーキが効くようなので、自動ブレーキなしのクルマより衝突時の被害軽減を期待できそうです。
しかし、標準車両に追加費用を出して自動ブレーキシステムのクルマを選ぶ消費者としては、「止まる自動ブレーキ」が欲しいと思うのが本音でしょう。
システムの開発や見直しは2015年を境に急ピッチに進んでいるので、今後の新型車に期待し注目して行きましょう。
自動ブレーキで止まれなければドライバーの責任
いまさら言うまでもないことですが、自動ブレーキの有無にかかわらず追突事故の責任は、後方から追突した運転者の責任になります。
これは、自動ブレーキの効果の大小にかかわらず、前方の交通状況に注視して安全運転に努めるのは、運転者に課せられた法律上の義務があるからです。
そうしたことから、過失責任も100対0となり、「自動ブレーキが効かなかったから追突した」というのは、言い訳になりません。
自動ブレーキは、あくまでもヒューマンエラーをサポートする運転を補助するシステムとして認識しましょう。
今後は急速に回避性能を向上させたクルマがラインナップされてくることと思われますが、それでもメーカーは、「完全に制御される自動ブレーキ」という謳い文句は使いません。
あくまでもクルマの運行の責任は、ドライバーに100%有ることを肝に銘じてハンドルを握りましょう。
自動ブレーキの先にあるもの
自動ブレーキを始め、ABSや横滑り防止装置など、クルマを安全に制御する技術が急速に研究開発されてきました。
今後、5年の間に急速に増加しおおむね2045年まで高齢者ドライバーが高い比率となる日本では、ドライバーのヒューマンエラーをできるだけカバーできるクルマの需要が増えると考えられています。
また、保険会社も高齢化が進むに連れ、事故が増加する可能性があるので、未然に防ぐ装置の開発を期待しています。
実際それが進まなければ、2020年を超えたある時点から保険料増が懸念されるからです。
衝突時の安全性能も非常に重要ですが、衝突しないクルマの方がもっとも安全性が高くなるので、そうしたクルマが増えることを願ってやみません。
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