未成年の子供やその友達が起こした事故!車両所有者の親の責任は?
車両所有者の運行供用責任
未成年者の事故と聞くと、すぐに親の責任を問う風潮を感じる昨今ですが、自動車の事故においてはどうなっているでしょうか?
自動車の賠償責任を考えるとき、人身事故と物損事故は全く同じにとらえることはできません。
それぞれを受け持っている法律が異なるため、結果が異なってくるからです。
たとえば、交通事故における人身事故では、運行供用者責任と呼ぶ車両所有者に課せられる責任が存在しており、親の所有するクルマであればとうぜんに運行供用者責任を有しています。
つまり、人身事故においては、車両所有者にも当然に責任が課せられると考えておく必要があります。
保険の付保内容をチェックした方がいい
昨今のダイレクト自動車保険の浸透から、自動車保険は限定条件を付けて安くすることがある種のトレンドとかしていますが、リスクの専門家から見るとこれはとても危険で薦められるものではありません。
たとえば、運転者家族限定の場合、年齢条件を未成年の18歳まで引き下げておけば子供の運転に支障はありません。
しかし、18歳の自分の子供だけが運転すると考えるのは、浅はかです。
たとえ、自分の子供だけが運転する約束で貸し出したとしても、運転免許を所有する人ならクルマの運転をするのに違法性はありません。
お子さんに何らかのアクシデント、または、運転の疲れなどで友人に運転を交代してもらうことも、可能性として否定できないのです。
このような状況を踏まえて加入するのが自動車保険です。
限定条件をつけて保険会社の支払いリスクを削った自動車保険は、一見保険料も安く魅力的ですが、いざというときに大きなリスクを負うことになる、大変危険な加入方法であることも認識しておきましょう。
目先の保険料が安い自動車保険がもっとも高く付いてしまうということも否定できません。
運転者の交代で無保険車に
保険を付けていても、運転者家族限定の保険ならば、他人が運転した時点で無保険車になります。
2012年になりますが、福井県で交代した運転手の居眠りにより、クルマの所有者が死亡してしまった痛ましい事故がありました。
事故は正面衝突の事故で、相手方も腰の骨を折る大ケガをして、後遺障害が残ってしまうほどの被害を被っています。
また、当然に双方のクルマは全損となりましたが、事故原因の運転者は未成年でしかも自動車保険は家族限定で、運転者の家族しかカバーされていませんでした。
この場合、車両所有者は親ではないのですが、運行供用者責任が生じるため自車の自賠責保険の利用もできませんでした。
未成年者の運転者は、運転者としての刑事責任や民事賠償責任も生じます。
しかし、民事賠償の支払い能力は期待できるものではありません。
この事故では亡くなった車両所有者が本来の被害者である相手方の車両の所有者を相手取り、運行供用者責任による賠償を裁判により勝ち取っています。
クルマの持ち主は、たとえ貸し出した場合でも、常に運行に際する責任が生じていることを知っておく必要があります。
クルマの所有者の責任をカバーする自動車保険
クルマの所有者は、そのクルマが使われるあらゆる状況を想定して、保険に加入することが必須です。
先の話のように、子供に貸し出してその友達が運転した場合のリスク、自分が運転していて友人や家族に運転を交代するときのリスクなどをふまえ、付保することが大切です。
子供に貸し出すとき同乗する友達がいることを知らなくても、その友達の運転により事故が起きてから「知らなかった」では済まされません。
また、家族のクルマを子供が黙って持ちだした場合でも、その責任は車両所有者(運行供用者)の親に求められます。
親の許可が無くても、自宅の車庫にクルマがあり容易に持ち出しが可能であれば、それは盗難ではありません。
クルマの持ち主である親は、そうしたリスクも想定して準備を怠らないように保険にも加入しておくことが必要なのです。
1日だけの保険を上手に使う
現在は、わずかな掛け金で1日だけ付保できる自動車保険も販売されています。
この保険を利用すれば、子供の友達などもしっかり保険を付けることができるので、運転をさせない方向で縛るのではなく、保険を付けて運転するという習慣を教えるほうが健全で建設的な考え方です。
家庭内でもクルマの扱いに厳しく制限を設ける方向だけを考えず、安全にリスクをしっかりカバーできる方法と、利用方法を家族で話すことも必要です。
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