悪質な運転者をゆるさない!自動車運転死傷行為処罰法とは?
飲酒・危険ドラッグ・ひき逃げ・無免許を厳罰化!
2014年5月から施行されている「自動車運転死傷行為処罰法」では、飲酒・危険ドラッグ・ひき逃げ・無免許などで人を死傷させた場合の処罰が従来の刑法以上に厳しくなっています。
交通事故を起こした場合従来の法律では「自動車運転過失致死傷罪」、そして「危険運転過失致死傷罪」がありました。
しかし、厳罰を盛り込んだ「危険運転過失致死傷罪」では、適用の条件となる危険運転行為のいくつかには立証が難しいケースが生じてきます。
特に問題となったのは、より悪質な運転者による「ひき逃げ」を誘発する要因の一つとなってしまいます。
世論から厳しい対応が求める声の高まりにより、「自動車運転死傷行為処罰法」が規定されることになります。
自動車運転死傷行為処罰法が作られた背景
加害運転者による悪質な原因に主眼を置いた「危険運転過失致死傷罪」は、その適用の条件が極めて危険性の高いものに限られており、次のようなケースで適用困難となる事がありました。
・無免許で常時運転をする悪質なドライバーが起こした、死傷事故にて「未熟運転」の適用にはならず、危険運転過失致死傷罪が適用できない。
・飲酒行為後の運転による事故だか、現場から立ち去り(ひき逃げ)、さらに酒を飲む、大量の水を飲むなどして、運転時の「酩酊運転」の立証を困難にする、逃げ得が発生した。
また、ひき逃げによる負傷者の救護が遅れることにも繋がる最悪の状況を誘発していた。
・てんかんや精神疾患などを持つ人が、薬の服用など適切な処置を行わずに運転して事故を起こした場合に「酩酊運転」と立証ができない場合があった。
このように悪質な運転者や、運転そのものが危険であると予想される身体の状態となる持病への適切な対処を怠った場合では、危険運転過失致死傷罪だけでは不足や抜け穴が生じることがあります。
そこで新たな刑法として、関連する従来規定を分離独立して制定されています。
自動車運転死傷行為処罰法の主な内容
従来からの過失運転致死傷罪、危険運転過失致死傷罪が含まれ、一部内容について具体的な構成要件を改正、拡大しています。
・危険運転致死傷罪
改正、追加された構成要件は次の通り。
(主要な内容は別のページの解説にて)
飲酒や薬物の影響から、通常の運転に支障が出る可能性がある状態でクルマ運転する行為、その結果として運転に影響が及び、正常な運転操作が困難な状態に陥ったもの。
政令にて定められている、クルマの運転に支障をきたす恐れのある病気の影響から、走行中に正常な運転操作について困難が生じる状態で運行する行為。
そして、結果として病気の影響により正常な運転操作ができなくなったもの。
・発覚免脱罪
「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱」と呼ばれ、いわゆる「逃げ得」を防止するために厳しく処罰が規定されています。
一般的には、事故現場からの逃走などが該当しますが、目的が同様であれば、それにかぎらず「発覚免脱罪」が適用になり罪の併合もかさなり、より厳しい処罰が下されます。
・過失運転致死傷罪
刑法の旧規定、自動車運転過失致死傷罪に規定されていた内容
・無免許運転による加重
主な罪状に加え、その罪を犯した時点で「無免許」であれば、加重して処罰を行うという厳しいものです。
これにより、懲役刑は従来の危険運転過失致死傷罪での15年以下から、20年以下となります。
なお、有期懲役刑の最長で20年とされますが、他の罪による併合罪の加重や再犯による加重がある場合、最長期間が30年の懲役が科せられるようになりました。
自動車運転死傷行為処罰法と保険金の支払い
保険金を支払いについては、自動車運転死傷行為処罰法による処罰とは別に、約款にて規定されております。
したがって、この法律の処罰が保険金支払いの有無に直接左右されることはありません。
しかしながら、この法律の制定以前から「飲酒や薬物による運転」の影響によって生じた、正常に運転することが困難な状況での事故では、保険金支払いができないことあります。
具体的には、車両保険や搭乗者用の傷害保険の運転者本人の部分について該当します。
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