盗難で車両保険を使うと自動車保険の等級は翌年ダウンする?
自動車保険は、つかうと等級ダウンしてしまい翌年保険料が上がります。
この原則は、クルマの所有者や運転者に過失の無い盗難による車両保険の利用でも例外ではありません。車の持ち主は、保険をかけていても等級ダウンという形で保険料負担が増えるというマイナスも生じます。
また、本体盗難と並んで被害が絶えない「車上荒らし」による、車内においてあったモノを盗まれたときの保険金請求では、補償する特約の違いにより等級ダウンしない場合もあります。
つまり、盗難被害による保険金請求は、補償の種類によって等級ダウンがある場合とない場合があり、少し複雑です。
この記事では、車にまつわる盗難の被害状況別に車両保険やその他の補償の適用と等級ダウンの有無について解説します。
盗難で車両保険を使うと1等級ダウン!
盗難被害による保険金請求は、2013年10月のノンフリート等級制度の改定以では等級すえおき事故とされていました。しかし、保険のリスク細分が進み、各社がぎりぎりまで保険料を下げていった結果、盗難被害による車両保険金請求は、1等級ダウン事故の扱いとなりました。
車の盗難被害は、持ち主による過失の無い事故がほとんどですが、加入者それぞれの保険料負担を公平に保つための必要な措置といえます。
車両盗難以外では、カーナビなど自動車部品を狙った車上荒らしによる、窃盗被害、窃盗犯によるガラスの破損や車両内外の傷なども同様の判断となります。
車内からバッグを盗まれたときの補償と等級
車上荒らしによる被害は、車内においてある荷物を狙った犯行と、車に定着(※1)している部品、カーナビやオーディオ、タイヤ&ホイールセットを狙った犯行と、2つのタイプに分けられます。
2つ盗難による被害では、その被害内容によって使える補償が違ってきます。補償によっては、等級ダウンしない「等級すえおき事故」もあるので、保険金請求の際はよく検討して下さい。
「ガラスを割られて車内に定着したカーナビを盗難された場合」
ガラスの修理、カーナビなどすべて車両保険(盗難)で対応します。翌年は1等級ダウンとなり、該当等級にて1年間事故有係数による保険料になります。
「ガラスを割られて車内に置いてあったバッグとカメラを盗まれた場合」
ガラスの修理は車両保険(いたずら)にて対応します。バッグやカメラは、「車内手荷物補償特約」、「身の回り品補償特約」などの追加特約が付帯されていれば限度額の範囲で補償されます。
なお、注意点として車両保険を使えば1等級ダウン事故として見なされますが、手荷物のみの損害請求であればノーカウント事故として取り扱う保険会社も多くなっています。
事故報告の後で構わないので、個々の保険金支払いについて事故担当者と相談してから保険金請求を行いましょう。
少損害のときは保険金請求を熟慮する
盗難被害にて運良く車が戻った場合、車両保険の支払い金額によっては、保険金請求を考慮したほうが良い場合もあります。
たとえば、サイドガラスのみの破損で何も盗まれず、実損害がガラスの修理と車内外の清掃のみの場合、車両保険を利用せずに損害を実費負担したほうが結果的に良い場合があります。
盗難被害による修理の保険金請求をした場合、翌年の等級ダウンが1等級です。そこで1年分の保険料差額と、免責額を除いた保険金支払い額との違いを比べて見ましょう。
サイドガラスの場合車種にもよりますが、5万円以下の修理で済む車も多いので、念のため心に留めておいて下さい。
気軽に利用しない!自動車保険は最終手段
対人賠償や対物賠償などの場合、相手との示談交渉も含めて保険会社に任せたりできるので、任意保険を使う前提のほうがトラブルも少なく安心です。
しかし、車両保険に限っていうと盗難も含めた単独事故では、損害の程度と等級ダウンによる翌年以降の保険料のアップ分を考慮して、損害額と比べてから保険金請求を検討しましょう。
盗難被害が発生した場合、慌ててしまいますが落ち着いて、警察への通報と被害届け、そして遅滞なく保険会社に事故連絡を入れましょう。保険金請求などの考慮は、損害が確定してからで構いません。
事故の連絡は遅滞なく行い、事故担当者や保険会社の相談窓口、代理店と相談の上、保険金請求を行うようにしましょう。
連絡や相談は気軽に利用し請求についてはよく検討しましょう。
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