ケガで治療中の休業損害はどのくらいまでもらえるの?
休業損害はどのくらいもらえる?
休業損害とは、交通事故が原因による負傷の治療を行うために仕事を休むことを余儀なくされ、その結果給与が減額された場合、不足の収入を補填することを休業補償といいます。
したがって、休業によって生じた不足分を実損填補されることになります。
事故そのものが通勤途中などで、労災が認定され給与の6割が労災より補填されているような場合、残りの4割が補償の対象となり支払われます。
なお、有給休暇を使って会社を休んだ場合は、休業損害から有給扱いの休み分は補償の対象になります。
休業損害はいつまでもらえる?
休業補償は、会社などに所属していて治療後に仕事に復帰することが一般的と考えます。
治療期間は、ケガの症状や治療方法でそれぞれ違ってくるので、期間を一概に決めることはできません。
しかし、一般論として負傷個所の症状固定が診断された時点までとすることが妥当です。
それ以降は、後遺障害の等級認定を受けて労働能力喪失率を決定し、将来の逸失利益として補償を受け取るようになります。
休業損害がもらえない人がいる?
休業損害は、事故により仕事を休むことが余儀なくされ、結果として収入が減ってしまう人に補償します。
したがって、次に挙げるような収入がない人、休んでも収入が減らない人は、休業補償をもらうことができません。
・学生(アルバイト収入がない人)
・年金生活者
・生活保護受給者
・駐車場やアパートなどの不動産賃貸の経営主
その他にも交通事故の治療などで休みをとっても、収入が減らない人は、休業補償の対象にはなりません。
職業によって証明方法がちがう
休業損害は、職業によって証明方法が異なります。
主な仕事を例に休業補償の基準となる収入の証明を見てみましょう。
会社員等の給与所得者
事故前直近の3か月分の給与を合計し、90日で割り1日あたりの収入金額を算出します。
通常は、その1日分を休業日数で乗じて合計の休業補償額を算出します。
ボーナスの支給が無い場合にも、休業損害で補償します。
過去6カ月間の賞与分を180日で割り、1日あたりの賞与額を算出し、休業日数をかけて休業損害金額を算出します。
個人事業主等
自営業者の休業損害の収入の基準は次に挙げる収入の根拠を示す書類から調べます。
確定申告書から前年の収入を確認する。
前年収入を365日で割って、1日あたりの収入を算出する。
病院への治療日数を1日あたりの収入にかけて休業補償金額を算出します。
申告所得が実収入より少ないようであれば、収入の実態にそくして帳簿、領収書などを根拠に、事業所得を収入とすることも可能です。
自営業者の場合、確定申告書だけでは、収入の実態とかけ離れてしまうことがあります。
申告所得がとても低いときには、やむを得ず自賠責保険の最低基準となる、日額5,700円を通院に数に掛けあわせ、休業損害とする事もできます。
専業主婦、家事従事者の休業損害
家事労働を専業で行っている人の場合も、休業損害を認めています。
賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基に1日あたりの日給相当額を算出します。
日給相当額をケガの治療のために通院し休んだ日数分にかけて、休業損害額を計算します。
主婦の休業損害は、社会的に広く認められているところですが、未だに「主婦は収入の実態がない」「自賠責基準の最低日額5700円にて」と言った、示談交渉を行う保険会社もあるようです。
専業主婦や家事労働従事者の人は、そのような保険会社の横暴な主張に惑わされず、休業損害請求のさいには、賃金センサスで算定した金額で示談交渉に臨みましょう。
症状固定後は逸失利益を受け取る
休業損害の支払いは、治療期間の終了とともに終了します。
しかし、完治せずに症状の固定により後遺障害の等級認定を受ける場合、労働能力喪失率を基に逸失利益を算出します。
後遺障害保険金や慰謝料と共に受け取れるよう、併せて賠償請求を行いましょう。
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