人身事故被害者の治療費や慰謝料の支払基準
目次
人身事故被害者への保険金支払い基準
人身事故被害者に支払われる対人賠償の保険金算定については、自賠責保険を始めとして任意保険基準、弁護士会基準などの算定方法があります。
多くの事故の場合、自賠責保険の保険金も含めて、任意保険会社が一括支払いすることがほとんどです。
したがって、特に賠償請求訴訟などがおこなわれない限り、弁護士会の算定基準が持ちだされることはありません。
確かに弁護士会の算定基準では、より現在の状況に即した合理的な内容となっており、一般的には少し高目の金額です。
しかし、訴訟賠償訴訟ともなれば、訴訟費用や治療費等の立替など被害者にとって負担となることは多くあります。
訴訟ともなれば、治療費の一部や休業損害、慰謝料などの受け取りは、訴訟判決後(和解後)となることがほとんどですから、合理性なども検討し慎重な判断が必要です。
そうした背景からも任意保険会社が常用利用する、もっとも一般的な方法が自賠責基準に則った算定基準となっているのが現実です。
支払われる賠償金については、加害者側の保険会社が示談交渉の窓口となり、被害者への治療費支払いなどに一括で対応することがほとんどです。
人身事故被害者の多くは、一般的に加害者側保険会社の対応を受けて、治療から休業損害など慰謝料も含め、自賠責保険算定基準を元に支払いが進められます。
任意保険の算定基準について
任意保険の賠償保険金算定では、主に自賠責保険の保険金算定基準を基に、各保険会社が独自の判断基準を持って算定しています。
したがって、弁護士会の用意する算定基準と比べると低い算定額となることが常で、上回るというようなことは残念ながら内容です。
自賠責保険と異なり各社独自の判断基準を持つため、保険金の算定が損保各社において、横並びで同じというようなことはないようです。
おおむねですが、自賠責と弁護士会の基準の間を取った内容にて、示談交渉の提案がなされることが多いようです。
自賠責保険の治療費等の算定基準
治療費用:原則必要かつ妥当な範囲の実費が一般的に認められています。
(応急手当費、診察料、入院費、投薬・手術・処置費用、柔道整復等の費用など)
交通費:原則として、必要かつ妥当な実費が認められます。
(通院・転院・入退院にともなう交通費)
付添看護料:医師が必要と認める場合。
(入院1日につき4,100円、自宅看護または通院1日につき2,050円)
諸雑費:原則として、入院1日あたり1,100円
義肢等の費用:必要かつ妥当な範囲の実費、メガネの場合は5万円を限度とする。
(義肢、歯科補てつ、義眼、メガネ、補聴器、車いす、松葉杖等の費用)
診断書等、文書費用:必要かつ妥当な実費
(診断書、診療報酬明細書、交通事故証明書、印鑑証明書、住民票等)
その他:治療に合理的であり必要と認められた範囲で住宅や自動車の改造費用など
(後遺障害の発生が予想されるケース)
自賠責保険の休業損害の算定基準
休業損害の算定は、事故による傷害のために働けずに減少した収入相当分が対象です。
給与所得者は、休業損害証明書による減少額の実費を、1日最大19,000円を限度補償する。
家事労働者などの場合、原則として1日5,700円にて算定します。
自賠責保険の慰謝料の算定基準
慰謝料は治療期間を基に、精神的・肉体的な苦痛に対し支払われます。
算定の基準額は、1日あたり4,200円となります。
人身事故の被害も過失割合が生じます
自動車同士の事故などでは、損害賠償責任に一定の過失割合による過失相殺が行われます。
したがって、被害者という立場でも過失割合が生じている場合は、保険金額が自身の過失相当の割合分だけ減額されることになります。
一般的には、自賠責保険の傷害保険金120万円までは、自身の過失が7割を超えなければ100%の内容で支払われますが、それ以上となる場合、過失分が差し引かれることとなります。
自賠責の傷害保険金限度額120万円は、先に挙げた治療費等、休業損害、慰謝料のすべてが含まれるため、すぐに限度額に達してしまいます。
被害者でも過失割合が生じる場合の事故では、その内容などを考慮して慎重に示談交渉などを進める必要があります。
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