高齢者の運転を助ける!オススメの最新自動ブレーキ付き軽自動車
年々急増する高齢者ドライバーの交通事故を抑止する方法のひとつとして期待されているのが、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキシステム)です。
軽自動車の自動ブレーキは、初期に登場したタイプのモノだと時速30km程度までしか動作しませんでした。
また、動作をしてもほとんどが接触衝突してしまうという、正直中途半端な代物でした。(ソレでもないよりはマシでしたが…)
しかし、昨年発売された新型の軽自動車には、時速100kmまで動作して50km以下ならほぼ止まる、優れた自動ブレーキシステムが相次いで搭載されてきています。
しかも価格は従来システムとほとんど変わりません。
これから車を代替するなら候補のひとつとしてオススメします。
この記事では、軽自動車の最新自動ブレーキ装置、高齢者ドライバーの安全運転支援にオススメの軽自動車を紹介して参ります。
目次
高齢者ドライバーにイチオシ!自動ブレーキ付き軽自動車
2大軽自動車メーカーのスズキ自動車とダイハツ工業。
2015年から従来のレーザーレーダーを使った自動ブレーキシステムから、第2世代となる新型の自動ブレーキシステムの採用にスイッチしてきました。
従来型との大きな違いは、自動ブレーキが動作する速度の範囲とブレーキの掛け具合、車線の逸脱や車体のふらつきを感知してドライバーに警告するアラームなどが搭載されたことです。
従来型では、自動ブレーキの動作上限が時速30km程度としていましたが、新たな自動ブレーキ装置は時速100kmまで動作範囲を広げています。
また、単眼、ステレオなどのカメラを搭載することで対歩行者への衝突警報機能や車線逸脱警報などが搭載されています。
軽自動車メーカーには、ホンダ技研工業や三菱自動車もありますが、2016年8月時点では、時速30kmまでを動作範囲とした第1世代の自動ブレーキ搭載車のみとなっています。
誰でもわかるように、自動ブレーキにより自動車の衝突を完全に回避できれば、事故による損害は発生しません。
また、万一ぶつかってしまっても、衝突速度が下がっていれば損害の程度は軽くなります。
ここでは、緊急時により効果的なエマージェンシーブレーキの作動が期待できる、スズキ自動車とダイハツ工業のシステムを取り上げて解説します。
・ダイハツ工業「スマートアシスト2」
なお、それぞれの自動ブレーキシステムの動作状況は、独立行政法人「自動車対策機構(NASVA)」の、自動車アセスメント(以下:JNCAP)にて行なわれた、予防安全性能アセスメントにて客観的にテストされ公表されています。
合わせてご確認下さい。
スズキのデュアルカメラブレーキサポートとは?
スズキの自動ブレーキシステムは2つのカメラを使用して人も目と同様に立体視で前方の車両や歩行者を検知します。
また、車線の認識により車線の逸脱や車体のふらつきにも警報を発して危険を知られてくれるようになりました。
2つのカメラを使った自動ブレーキや運転支援装置は、評判の高いスバルアイサイトと同様です。
スズキのデュアルカメラブレーキサポートは、スバルアイサイト2の一部機能を削りシステムを簡素化することで価格を抑え、よりユーザーが導入しやすくしています。
肝心の性能ですが、JNCAPの予防安全アセスメントにおいて、最初に導入されたスペーシアで「45.8/46.0」のほぼ満点ともいえる得点となり、「2015ASV+」を獲得しています。
実際の試験動画を次のサイトで見ることができます。
「JNCAP 予防安全アセスメント 試験車種一覧(SUZUKI)」
中段付近の「DAA-MK42Sのデュアルカメラブレーキサポート付き車両」のデータをご覧下さい。
デュアルカメラブレーキサポート付き車の主な性能
時速5kmから100kmまでの範囲内で走行中、2つのカメラが前方車両や歩行者などの障害物を検知すると、警報音とメーター内に表示を行いドライバーに危険を知らせます。
時速10kmから100km前方車両との衝突危険を判断すると、ブレーキアシスト機能により緊急ブレーキが作動します。
時速50km以下であれば衝突を免れる可能性があります。
なお、先のJNCAPの試験映像では、時速50kmから停止車両に対しブレーキによるノーズダイブした分だけ、スペーシアの鼻先がわずかにタッチして止まりました。
見事な性能です。
なお、歩行者に対しては、時速30kmまでを動作範囲としています。
スバルのアイサイト搭載車とレクサスの一部車両以外、対歩行者への緊急ブレーキ作動はありません。
したがって、今もっとも優れた自動ブレーキと言えるでしょう。
その他の安全運転支援システムは?
デュアルカメラブレーキサポートにより、車両逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車両の発進通知機能、また、停止時からのペダル踏み間違いなどによる急発進を抑える、誤発進抑制機能も搭載されます。
高齢者ドライバーがペダルを踏み間違えて店舗などに突っ込む事故のニュースなどを散見しますが、誤発進抑止機能が付いているだけでこうした事故も防ぐことができます。
つまり、デュアルカメラブレーキサポート搭載車なら、多くの追突事故や交差点内での歩行者や対向車との事故、急発進事故などを防ぐことができる可能性があります。
保険のプロとして筆者が高齢者ドライバーにオススメする軽自動車の自動ブレーキ装置です。
搭載車両は次の項にて解説します。
デュアルカメラブレーキサポート搭載車とマツダへのOEM
デュアルカメラブレーキサポート搭載車はスズキの車両の他、OEM供給を行っているマツダの車両にも採用されています。
軽自動車の搭載車は次の通りです。
スズキ スペーシア
軽自動車サイズにミニバンの広さを兼ね備えたオールマイティな車です。
多彩なシートアレンジと助手席の前方可倒により、車内最大の長さまで収納することができます。
シートの高さと車高が絶妙で屈むようなこともなく自然な位置で乗降できます。
高齢者ドライバーやその配偶者など、無理なく乗り降りができるので安心です。
スズキ ハスラー
ジムニーのような本格的なクロカン4WDは、高齢者ドライバーの街乗りや買い物には少々難があります。
しかし、趣味の釣りやドライブなど遊び心のある車がほしいという人にオススメなのがハスラーです。
見た目以上に本格的な4WD車ならではの装備もあり、ぬかるみや雪道などで4輪それぞれのグリップ差を各輪のブレーキを作動させてスリップをコントロールします。
4輪のトラクションをコントロールすることで安定したグリップ走行が可能です。
ちなみに車の総合的バランスは、スペーシアよりハスラーの方が一枚上手です。
ハスラーは、JNCAPの予防安全アセスメントの得点は「46.0/46.0」の満点でした。試験映像では、時速50kmから停止車両に対し、約2M近く余裕を持って停止しています。
同様の試験でスペーシアがノーズダイブにより、わずかに障害物にタッチしたことと比べると、総合得点の0.2ポイント差は、事故の有無の差につながり、大きな0.2ポイントとなるでしょう。
なお、地方などで身近にスズキディーラーが無い! マツダディーラーやデザインが好き! という方は、次の2車種も検討してみて下さい。
「マツダ フレアクロスオーバー(ハスラーのOEM版)」
どれを選んでも世界トップレベルの自動ブレーキ性能を手にすることができます。
保険のプロである立場から、ぶつかりにくい車がもっとも保険料を安くする高性能な車とアドバイスしています。
私的な目線も加えれば、ハスラーのJスタイル2が大人向きのデザインでいい感じです。
クールカーキのホワイトルーフ2トーンなら、とってもオシャレでシニアの方にも飽きずに乗ってもらえるでしょう。
ダイハツのスマートアシスト2とは?
ダイハツのスマートアシスト2(以下:スマアシ2)は、従来のレーザーレーダーによるセンサーに単眼カメラを加えて、より高度に障害物との距離や速度差を検出して自動ブレーキや車線逸脱を知らせてくれます。
レーダーと単眼カメラの組合せは、近距離をレーザーレーダーにて正確に検知、遠距離とより広角な視野で見る単眼カメラにより総合的に障害物や歩行者を検知することができます。
正直に申し上げれば、グループ企業のトヨタがアクアなどに搭載しているレーザーレーダーと単眼カメラを組み合わせた「トヨタ セーフティ センスC」が秀逸な性能を示しているので、同様の組合せにあるスマアシ2にも期待していました。
しかし、JNCAPの予防安全アセスメントの試験映像を見る限り、少し残念な結果となっています。
確かに、以前のレーザーレーダーのみのプリクラッシュセーフティシステムと比べれば、はるかに向上していますが、最終的には衝突しています。
「JNCAP 予防安全アセスメント 試験車種一覧(ダイハツ)」
掲載車両のグレードに”SAⅡ”と記載されているのがスマアシ2の搭載車両です。
時速50kmからの完全停止まで望みませんが、せめて時速30kmからは止まって欲しかった… というのが正直な気持ちです。
スマアシ2搭載車の主な性能
スマアシ2を搭載すると、次の予防安全運転支援機能が付加されます。
「衝突回避支援ブレーキ機能」、「衝突警報機能(対車両・対歩行者)」、「車線逸脱警報機能」、「誤発進抑制制御機能(前方・後方)」、「先行車発進お知らせ機能」の5つとなっています。
衝突回避支援ブレーキ機能では、作動にはいくつかの条件があります。
具体的には、時速約4kmから50kmの速度で走行中、前方20M以内に前を走る車がいてレーザーレーダーが検知している場合(速度差は時速約30km以内)、となっています。
あまりにも限定された条件であり、レーザーレーダーによる検知という点では、以前のスマートアシストと大差はないようです。
しかも、対歩行者への対応はありません。
車両と対歩行者への衝突警報、車線逸脱警報は、概ねスズキのデュアルカメラブレーキサポートと同等と見ることができますが、ふらつき警報機能はありません。
唯一、スズキに対し優位点を上げるとすれば、「後方への誤発進抑制制御機能がある」ということでしょう。
しかし、あくまでもセンサーはバックソナーだけであり、カメラではありませんし、小さな子供などはソナーに反応しない場合もあるので「盲信は要注意!」です。
総合的に見れば、以前のレーザーレーダーのみの衝突被害軽減ブレーキ装置より、運転支援機能の向上は認められますが、ライバル社のスズキに対して後れを取った感は免れません。
スマートアシスト2搭載車とトヨタ・スバルへのOEM
ダイハツ ムーブ
高齢者ドライバーにも人気が高いダイハツのムーブは、軽乗用車の定番的な存在です。
スマアシ2の搭載により、2015年、一時もっとも安全運転支援技術が進んだ車として注目を集めましたが、一瞬のうちにスズキにお株を奪われた感があります。
直接のライバルとなるアルトにデュアルカメラブレーキサポートが搭載されると、自動ブレーキの技術差で顧客をさらわれるかもしれません。
ダイハツ タント
乗り降りがしやすく、センターピラーレス構造、後部のスライドドアなどにより使いやすさにおいて、軽自動車のベストセラーとなる人気の車です。
自動ブレーキシステムにおいて、直接ライバルのスペーシアに水を開けられた感があります。
筆者も2台を比較検討するユーザーには迷わずスペーシアで推しています。スマアシ2のバージョンアップを期待します。
ダイハツ キャスト
ムーブから派生した、オシャレで個性的な車です。高齢者ドライバーの方にも魅力的だと思います。
スズキのハスラーともライバル関係にあり、スマアシ2の完成度がもう少し高ければいうことなしです。
「スタイル」なら、上質な雰囲気と作りがオシャレなシニアのご夫婦にも似合いそうですね。
ダイハツ ウェイク
遊びにも仕事にも活用できる「使える軽ワゴン!」
見た目以上の搭載スペース、軽自動車きっての室内高により、様々なシチュエーションで活躍が期待できます。
高齢者の方にも趣味で使える軽ワゴンとして密かに注目されています。
スマアシ2が時速50kmからでもぶつからない自動ブレーキを備えてくれればいうことなしなのですが…。
その他トヨタとスバルへのOEM供給による車種は次の通り
「スバル ステラ(ムーブのOEM版)」
スバルはステレオカメラによるアイサイトで自動ブレーキの運転支援技術で最先端を行くトップメーカーです。
ですが、トヨタ、ダイハツとの協力関係により、OEM供給を受けるステラの自動ブレーキが単眼カメラで性能に不足があるのは、とても残念なことです。
何より、デュアルカメラのスズキ車と比べて劣ってしまうのは、なんと皮肉なことでしょうか?
まとめ:新たな自動ブレーキ装置、優れているのはどっち?
スマアシ2は、十分に衝突損害を低減してくれますが、テストでは見事にぶつかっていました。
自動車保険で対人対物賠償から車両保険までしっかり使うことになりそうです。
一方スズキのデュアルカメラブレーキサポートは、50km以下なら止まれる可能性が高いです。つまり、事故にはなりません。
ダイハツのほとんどぶつかる自動ブレーキと、スズキのぶつからない可能性が高い自動ブレーキ、自動車保険の総合情報をお届けする当サイトでは、事故を未然に防ぐシステムを最大限オススメします。
ダイハツも魅力的な軽自動車と進化したスマートアシスト2を提供により、より安全が向上したと思います。
しかし、ユーザーの立場からすれば、ぶつからない車がもっとも安全であり、保険料も修理費も抑えることができます。
2016年8月、現時点においては、スズキのデュアルカメラブレーキサポートが搭載された軽自動車を高齢者ドライバーにオススメの車とします。
自動車メーカーはプライドを捨てて協力を!
最後にこれは私見ですが、ダイハツのスマアシ2には本当にがっかりです。
スズキは、自動ブレーキで成功を収めているスバルのアイサイトと同じ技術を、日立オートモティブシステムズから供与を受け、安くて良い「自動ブレーキと運転支援技術」を市場に提供できています。
しかし、ダイハツは、スバルやトヨタなど自動車保険ブレーキ技術を確立したメーカーと資本のつながりや協力関係にあるにもかかわらず、なぜその技術供給を受けないのか? はなはだ疑問です。
車のデザインや動力性能などは、メーカー各社がしのぎを削って競い合って良い物を作って欲しいと思います。
しかし、事故を防ぐための運転支援技術については、協力各社が手を携えてより良いものを市場に供給すべきと考えます。
特に、高齢者ドライバーが急増するこれからの10年間。
より高度な自動運転技術が搭載される車が登場するまでの間、自動ブレーキなどの支援技術は、高齢者ドライバーの運転を直接支えるものであり、手の抜けないところだと考えます。
メーカー各社には、様々な事情や思惑があると思います。
しかし、自動車産業において世界のトップに立つトヨタをはじめとする日本の自動車メーカーが、今持って車両の安全技術開発で欧米のメーカーの後塵を拝すのは、とても情けない限りです。
せめて、OEMなどで協力関係にあるメーカー同士、消費者目線でより良いものをより安く、そして速やかに提供してもらいたいと願わずに入られません。
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