自動車保険に重要な3つの連絡は「満期・変更・事故連絡!」
自動車保険の満期更改連絡のハガキが届いたあと、手続きをうっかり忘れて保険が切れてしまった! なんていう笑えない話が、意外に多いのです。
しかも、満期日までの更新手続きの連絡を忘れると、それまで積み重ねてきたノンフリート等級割引まで失ってしまい、「あらためて新規で入り直し!」という状況になるので、保険料がものすごく高くなってしまう人もいます。
また、自動車を買い替えたが保険会社に連絡を忘れていて、満期更改のはがきの内容を見て思い出した! というとんでもない話も意外に多い話です。
いずれの場合も、保険の効力が失した状態になっており、いわゆる「無保険」ですから、もし事故を起こしていれば、泣くに泣けないどこの話ではありません。
このように自動車保険の「連絡」は、想像以上に重要です。
この記事では、自動車保険にまつわる重要な連絡を「満期」、「変更」、「事故」の3つに分けて、それぞれ状況別に例をあげて解説します。
なお、事故発生時の連絡について、「事故連絡は保険を使うか決めてからでもいい?」、「事故連絡すると保険が上がってしまうのでは?」という疑問を持っている人は、「事故連絡」の解説を参考にして下さい。
目次
自動車保険に重要な連絡の種類
自動車保険の連絡が重要だということを冒頭で触れましたが、ここでは連絡の事案について3つに分けて見てみましょう。
満期更改など契約手続きの連絡
満期更改時には「保険会社・代理店から来る連絡」、「契約者から行なう連絡」と、2種類の連絡があります。
満期更改時の流れに沿って見ていくと、先ず、保険会社・代理店から「満期更改手続きの案内ハガキ」が届きます。代理店型自動車保険の場合、案内ハガキによる連絡後、契約(更改契約)を即すための電話連絡があります。
この場合の代理店ですが、保険専業のプロ代理店の場合は担当者から、また、自動車販売店にて加入した契約の場合は販売担当者から行なわれるのが通例です。
契約者は、満期更改手続き案内ハガキを受け取り、代理店担当者からの連絡が入ったら「更改契約の要不要」について回答しましょう。
「ダイレクト自動車保険などから見積もりを取って比較しよう」と思っている人は、ここで回答を保留することができます。その場合、結論が出て更新手続きを依頼するなら自分で連絡する必要があります。
ダイレクト自動車保険の満期更改手続き案内の連絡は、通常はがきにより行なわれ、契約者自らがインターネットや電話で更改契約の意思確認連絡、継続契約手続きを行なう必要があります。
保険期間中の各種変更手続きの連絡
自動車保険では、保険期間中の契約内容の変更連絡については、変更予定日より前に契約者から通知する義務があります。
変更連絡とは、具体的にいうと「車両入替」、「車両所有者の変更」、「保険契約者の変更」、「住所変更」、「年齢条件変更」、「運転者限定範囲の変更」などがあります。
例にあげた変更手続きにともなう連絡では、別途添付書類として自動車検査証(以下:車検証)の写しなど、提出が必要な書類もあるので、変更が予定されたら保険会社、または、代理店に連絡して必要な指示をあおぐことが必要です。
保険期間中の変更手続きの連絡を怠った場合、通知義務違反により、保険金が支払われなくなることがあります。例えば、クルマを買い替えたのに「車両入替手続き」と「新しいクルマの車検証の提出」を怠った場合、車両保険が使えないばかりか、通常の賠償保険や搭乗者の人身傷害保険まで適用ができない状況も出てきます。
自動車保険の変更手続きは、遅滞なく連絡を行い変更日前に手続きを完了して下さい。
事故発生時の連絡
万一の事故発生時は、救急車の要請連絡(119番)、警察への事故連絡(110番)など当該機関への緊急通報の後、保険会社に対しても速やかに事故連絡を入れましょう。
人身事故や対物賠償事故の場合、その事故に即した相手への対応など、事故担当者からアドバイスを得ることもできるので連絡した方が安心です。
万一、事故を起こし慌ててしまった場合でも、最初に保険会社に連絡すれば、救急車の手配から警察への連絡など必要な手続きをサポートしてくれるサービスもあります。
保険会社によっては、事故連絡ひとつで緊急対処員が現場に来てくれるサービスもあるので、契約の際に事故対応のサービスについても確認しておくと良いでしょう。
満期案内、更改契約で重要な連絡
満期更改時の契約手続きの連絡がとても重要なことだということは、先の項でお話したとおりなのですが、満期更改時の連絡にまつわるトラブルは一向に減る様子もなく、「業界全体としては、むしろ増えているのではないか?」と筆者は個人的に感じています。
そこで、満期更改時の連絡トラブルの事例をあげて、注意点を考察してみます。
「満期の連絡が来ない!」放っておいて大丈夫?
満期更改の連絡が来ないからといっても、放っておけば保険が切れてしまいます。
保険会社や代理店には満期更改案内や継続契約手続きを即す案内を行なうことが義務付けられていますが、ハガキや電話による案内などに留まるなど連絡方法は限定されており、その責任も限定的です。
自動車保険契約は、あくまでも契約者の自由意思により保険会社と取り交わされるので、手続きの実行も契約者の意思が尊重されます。つまり、契約手続きの責任は契約者にもあり、満期更改の連絡がないからといって継続手続きを怠れば、等級割引の権利喪失、保険切れによる保険金不払いなど、契約者に不利益が生じます。
すべてのケースにあてはまるわけではありませんが、満期更改の手続き漏れにより保険が切れてしまった人に中には、保険会社(または代理店)からの満期更改の案内ハガキが来なかったことを理由に、「更改契約の手続きを忘れていた」という人が多いのも事実です。
しかし、その多くのケースをよく調べてみると「連絡がない=連絡が届かない」理由は、契約者にあることがほとんどようです。実際、筆者にもいくつかの経験があり、もっとも多い理由は「引っ越し」の連絡をいただけてないことです。(長期出張による自宅不在もありましたが・・・)
自動車保険契約が専業代理店の場合、携帯電話への連絡、自宅や職場などへの電話連絡と訪問、メールやLINEカラ連絡など、お付き合いの状況により連絡手段も異なりますが、いくつかの連絡手段があるので全く連絡がつかないことはまれです。
しかし、ダイレクト自動車保険で契約している場合、①契約時に記載した住所への満期更改の案内ハガキによる連絡、②メールアドレスへの連絡、というプロセスで連絡が進みます。携帯電話や職場にまで電話連絡による満期更改契約の催促など一般的に行なわれません。
そういう点「ズボラな人には、うるさいくらいの代理店の方が面倒見がよい」のかもしれません。しかし保険料の大きな違いを理由に、一般個人ユーザーのダイレクト自動車保険への契約移行が年々増えています。契約者は満期更改手続きの案内連絡に注意する必要があります。
アメリカンホーム自動車保険契約者の勘違い
2016年に自動車保険の契約募集を打ち切ったアメリカンホームダイレクト(以下:アメリカンホーム保険)では、契約募集の終了にともなう満期更改を迎える契約者に「ソニー損保」への切り替えを案内しています。
しかし契約者の一部には、アメリカンホーム保険の保険募集終了を知らず、満期更改は損保他社にて契約手続きが必要であることを理解していない人も相当数いらっしゃるようです。
アメリカンホーム保険が保険募集を終了しているので、自動車保険契約者は、満期時に更改契約を他社でする必要があります。しかし一部の契約者にそれがうまく伝わらず、アメリカンホーム保険からの満期更改の連絡を待つあいだに、手続き時期を逸し保険が切れてしまった人がいるということです。
これは、アメリカンホーム保険が契約募集終了の案内、それを受けたソニー損保が満期更改の案内を連絡する際、一般的なハガキなどを使った書面での通知連絡のみとしているため、「契約している保険会社以外からの案内」を重要な連絡として契約者が受け止めていないことが伺えます。
残念ながら今回のようなケースではダイレクト自動車保険の場合、代理店のようなフレキシブルな連絡対応は望めません。したがって今後もアメリカンホーム保険の契約者に限らず自動車保険の満期時は、連絡の行き違いによる保険切れや等級継承トラブルなど、契約者自ら注意する必要があるでしょう。
自動車保険の募集に関わるルールでは、保険会社にも満期更改の案内の責任はあるのですが、契約者住所へ書面で通知することで、その責任の多くが回避されています。
自動車保険の満期日は、はじめから自分で管理しておく方が安全です。
「継続しない!」他社切り替えの連絡は必要?
満期更改の際、見積もりをいくつか取って検討し「保険会社を乗り替える」というのも、今や当たり前になりました。
満期時に合わせてダイレクト損保など他社に乗り替える場合、通常は前契約の保険会社にまで連絡をする必要はありません。
前契約の保険会社、証券番号、等級、事故の有無、過去の事故回数については、他社契約時に申告する必要があり、新しく契約した保険会社から前契約の保険会社に等級や事故回数など自動的に照会が回るので、その時点で他社のどの保険会社に契約が移動したのかわかるからです。
しかし、一方で今まで契約してきた代理店や保険会社から、満期のお知らせや案内が届くもの当たり前です。しっかり仕事をする代理店に至っては、こちらから連絡を取らなければ満期日を過ぎても連絡してくることは間違いありません。
実際、満期日から7日までは、ノンフリート等級割引を継承して契約が可能な猶予期間が設けられているからです。今まで代理店で契約している場合、電話でかまわないので、面倒でも一度は連絡を入れて「他社に切り替えるので継続はしない!」の旨を、はっきりと伝える方が良いでしょう。
なお、一部の代理店型損保の自動車保険商品には、自動継続特約が組まれたものもあり、「継続不要!」の連絡を入れないと、自動継続してしまい口座振替により自動で引落されてしまうこともあります。
他社への乗り替え契約をする場合、前契約からの自動継続契約の重複が発生すると手続きが面倒になるので、満期更改案内のハガキによる連絡が届いた時点で、ハガキに記載してある連絡先に「継続契約しない!」旨の連絡をハッキリと入れるようにしましょう。
契約内容の変更、車両入替など保険期間中に重要な異動連絡
自動車保険契約の保険期間中に申請する変更手続きを、損害保険の契約では「異動承認請求(以下:異動手続き)」と呼びます。
一般的な異動手続きは、次の6つです。
車両入替
文字通りクルマを買い替えたときなど、保険契約している対象のクルマを入れ替える際に行ないます。通常、納車日に入替予定日を合わせて事前に手続きを済ませておくようにしましょう。
車両保険が付帯されている契約で車両保険料率や車両保険金額が上がる場合、車両保険を追加で付保したい場合は、追徴保険料の発生があるので事前に代理店・保険会社に連絡して手続きについて確認しておきましょう。
なお、車両入替の際は、新しいクルマの車検証の写しが必要です。自動車販売店担当者にもその旨を伝え、納車前に手続きを済ませるようにしましょう。
車両所有者の変更
車検証に記載の自動車の所有者が変更になったときは、速やかに保険会社への通知が必要です。家族間の名義変更、友人知人からの譲渡で一定期間後に名義変更、自動車ローン決済後の所有権解除など、保険会社に提出済みの車検証に記載の所有者が変更の際は、必ず連絡を入れましょう。
保険契約者の変更
自動車保険契約は、同居の家族間で譲渡が可能です。したがってその際は、保険契約者の変更が発生するので遅滞なく手続きを行ないましょう。
若い人の保険料が高いことから、親が子のクルマに保険を移し替えた際、保険契約者や被保険者の名義変更を行なう必要があります。
この手続きを行なわなくても同居しているうちは支障をきたしませんが、後に子が家を出て別居後にクルマを買い替えた際、車両入替ができなくなったり、等級継承ができなくなったりするので、同居しているうちに手続きを済ませておいて下さい。
住所変更
契約者が引っ越しをしたときなど現住所が移動した場合、保険会社に遅滞なく連絡をしましょう。住民票の移動後や運転免許証の住所変更後にしようと思う人も多いようですが、引っ越したらすぐにでもかまわないので保険会社・代理店に連絡を入れるようにしましょう。
満期更改案内のハガキによる連絡がつかない理由の多くが、住所変更の手続き漏れによるものです。住所が変わってもクルマや被保険者が変わらなければ保険の効力は発揮しますが、満期更改案内が届かないことによるトラブルを避けられるよう、住所変更手続きは引っ越したらすぐに行って下さい。
年齢条件変更
一般的には、年齢条件を上げて保険料を抑えることを目的とした年齢条件変更が多いのですが、免許を取った子に親のクルマを常時使用させるような場合、年齢条件を下げる変更手続きが必要となります。
年齢条件を上げる場合、その変更日の時期によっては短期率計算により保険料が返還されることもあるので、変更予定日前に連絡を入れましょう。
また、年齢条件を下げる場合は、保険の効力に影響するので早めの連絡と必要な追徴保険料の支払いを事前に済ませておくことが大切です。
運転者限定範囲の変更
運転者限定の範囲の変更も年齢条件と同様に変更予定日前に必ず保険会社・代理店に連絡を入れて、必要な追徴保険料の支払いを済ませるようしましょう。
運転者限定の範囲については、保険会社の契約により多少、異なります。
例えば、被保険者本人まで絞り込める保険会社もあれば、被保険者とその配偶者までが最小範囲の保険会社もあります。また、家族限定や夫婦限定に別居の未婚の子を含むことができる保険会社とできない保険会社もあり、対応が様々です。
保険契約時、変更手続きの際、被保険者の範囲についてしっかり確認して下さい。
軽い事故でも連絡を入れた方がいい?連絡で等級ダウンはしない?
軽い事故でも保険会社に連絡した方がいい?
事故を起こした際、被保険者自身の状況にもよりますが、基本ルールとして軽い事故でも遅滞なく保険会社に連絡しておいた方が無難です。
保険を使うか否か、対物賠償保険や搭乗者傷害保険、車両保険の単独使用については、連絡後に決めることもできます。しかし対人事故で被害者への治療費支払いなどがある場合、自賠責保険の支払いなども含めて一括支払いが可能になるので、この場合はちゅうちょなく任意保険を利用することをお勧めします。
また自動車保険では、単に保険金を支払うだけでなく、起こした事故について相談や対応など、様々なカタチで契約者をサポートしてくれます。
また、事故現場でクルマの破損により立ち往生している状況でも、保険会社に連絡すれば速やかにレッカー車から修理先など、ロードサービスの手配もしてもらえます。事故の相手への対応はもちろんですが、契約者へのサポートも期待できるので、事故を起こしたらとりあえず保険会社に連絡しましょう。
また、被害者にいない単独事故でもとりあえず保険会社に連絡相談してから、後のことを考えましょう。
事故連絡による等級ダウンはしない?
事故連絡だけで等級ダウンはしません。等級ダウンの根拠となるのは、実際の保険金支払いと事故の種類です。
例えば、相手の過失100%の追突事故で、人身傷害保険や搭乗者傷害保険だけを使った場合、ノーカウント事故なので、翌年の保険料は上がりません。また、「無過失事故に関する特約」が付帯された契約では、相手の過失100%のもらい事故で車両保険を使ってもノーカウントとなります。
盗難や水没など災害による無過失事故で車両保険を使う場合は、1等級ダウンなど、すべてが3等級ダウンになるわけではないので、事故連絡をしてから保険会社や代理店に相談しましょう。
なお、ロードサービスの単独利用についても等級ダウンにはならないので、緊急時には2次災害を防ぐためにもちゅうちょすることなく、ロードサービスも利用して下さい。
先にもお話ししたとおり、軽い対物賠償事故や車両事故で保険金請求をしなければ、事故連絡をしても直ぐに等級ダウンにならないので、心配には及びません。
事故連絡が大幅に遅れると保険金は支払われない?
ガードレールなどへの単独衝突で損害が軽い場合でも、警察の届け出もなく、事故直後に保険会社にも連絡していない場合、保険金が支払われないことがあるので注意が必要です。
後になってから事故連絡をして、車両保険金の請求を起こしても損害部分の特定が危ぶまれ、また傷が複数ある場合、同じ修理範囲でも2事故としてカウントされる場合もあります。
最低限、警察への届け出がなされていれば、保険金請求の根拠になりますが、自身や相手の損害の特定などで不明瞭な部分が出てくれば、保険金支払いに支障をきたす場合もあるので注意しましょう。
まとめ:自動車保険で重要な3つ連絡
自動車保険契約において、重要な連絡は次の3つです。
②契約内容の変更手続きの連絡
③事故発生時の連絡
いずれも保険金の支払いに影響し、連絡をしていないと無保険状態になったり、保険が効かなかったり、保険金支払いに支障が出る場合があります。
自動車保険は、代理店型、ダイレクト型を問わず「満期 変更 事故」の際は、必ず保険会社に連絡をして相談確認を取るようにしましょう。
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