自動運転支援技術で高齢者ドライバーの自動車保険は安くなる?
2016年、65歳以上の運転免許保有者が1710万人に達しました。
現在、全運転免許保有者の約2割、つまり5人に1人が高齢者ドライバーというのが実態です。近年は、それに伴い高齢者ドライバーの交通事故が問題になってきています。
65歳以上の交通事故による死亡者数は、10年前の2005年の統計と比べると人口あたりでは4割ほど減少が進み、事故の被害は減っていると見られます。
しかし、人口あたりの死者数は、65歳以上とそれ以下で比べた場合、およそ2倍以上の差が生じており、高齢者層の交通事故被害が顕著であることが示されています。
また、車両の安全装置など向上しているとはいえ、全年齢層を通じて搭乗中の死亡者数が65歳以上に集中しています。
近年、高齢者ドライバーの交通事故を抑止する手立てとして「自動運転支援技術」に期待が集まっています。
この記事では、2016年、話題となっている自動運転車は高齢者の事故を減らし、自動車保険料を安くすることができるのかを考察してみます。
統計から見た高齢者ドライバーによる事故
2015年は、交通事故死者数が4,117人と記録され、15年ぶりに増加に転じました。
その内、65歳以上の人が2,247人犠牲なっており、高齢者の死亡者数比率が高いことがわかります。
死亡事故発生時の状態では、歩行者の場合がもっとも多いのですが2番目に多いのが車両搭乗中となっており、車に乗っている状態なら安全とはいえないのも実情です。
21世紀に入って、各種エアバッグの装備、救急治療の向上、近年は自動ブレーキの装備などにより、交通事故死者数は確実に減るものと思われていました。しかし人の運転と自動車のパッシブセーフティシステムだけでは、交通事故被害の抑止には限りがあるように見て取れます。
実際、交通事故の死亡者数は2014年まで減少してきましたが、2015年は横ばいとなってしまい、わずかながら増加に転じました。
警視庁等、関係機関の方針では、「2015年末までに交通事故死亡者数3,000人以下」を目標に取り組んできましたが、現実には2015年も4,117人が犠牲となっています。
急増する高齢者ドライバーと事故
今後は、自動車免許保有率の高い層が65歳以上の高齢者ドライバーに加わります。また、これからの5年間は、人口が最も多い「団塊の世代」が70歳を越えていく現状を踏まえ、交通事故死者数を抑止することが難しくなり、とても楽観視できない状況です。
高齢者ドライバーがかかわる事故には、他の人を含んだ大きな事故も増えています。
「ペダルの踏み間違えによる急発進事故」
「高速道路などの逆走事故」
「急な体調不良による運転操作不能」
上記要因による事故は、高齢者に限らず記録があります。しかし、圧倒的に高齢者ドライバーに多いというデータも示されています。
日々のニュースで高齢者ドライバーの事故が報道されることも目立つようになり、ドライバーだけでなく、道路や自動車、法律など対策が必要な状況です。
事故の急増で保険料が上がる
2014年に改定された自動車保険料の参考純率は、高齢者ドライバーを対象に大きく上昇しました。
具体的には、被保険者の年齢が60歳~69歳、70歳以上の参考純率について改定され、大幅な保険料上昇が見込まれます。
既に70歳以上を不担保とする特約などを用意する保険会社もありますが、今後は、ダイレクト自動車保険などでも、65歳以上、70歳以上を不担保や、引き受けを除外する保険会社も出てくる可能性があります。
高齢者ドライバーは、保険会社選びも厳しい状況になるかもしれません。
自分の保険料を調べてみる
自動運転技術で期待できる高齢者の運転支援
高齢者ドライバーの保険料のアップ、事故あり契約者の継続契約が難しくなりそうな状況下で、今後期待できるのが自動運転技術の搭載された車による安全の確保です。
保険会社もまだ具体的な内容まで踏み込んでは来ませんが、運転支援付き車両と高齢者ドライバーとの組み合わせによって、事故の軽減をはかることができると考えていることでしょう。
実際に高齢者ドライバーへの調査では、自動で作動する衝突軽減ブレーキ、車線逸脱を知らせてくれるアラームや逸脱を防いでくれるシステム等に期待し、欲しいという人も多いようです。
また、シフトやペダルの操作ミスによる急発進や誤動作も車が防いでくれるので、高齢者に増えている、操作の間違いによる事故の軽減も期待されています。
自動運転化で高齢者ドライバーも安心
現在の自動運転は、単一車線で前方車両に追従して加減速ができるレベル2の初歩段階です。
しかし今後は、交差点で曲がる、高速道路での合流や車線変更まで可能になる自動運転レベル3を経て、人が運転操作に関与しない自動運転のレベル4に至れば、高齢者の自動車利用について、現在抱える不安は大幅に縮小されることでしょう。
特にレベル4では、行きたい場所の指示さえ自動車に入力すれば、後は車の人工知能が操作を受け持ち自動的に目的地に運んでくれるようになります。
夢の様な話ですが、ニュースでも知られる通り、Googleの自動運転車は公道での実験を繰り返し、日々技術は進んでいる状況です。
2020年半ばには完全自動運転車が出る!
日本国内においても、2020年には自動化レベル3に達する車は増え、自動化レベル4の車もエリア限定で動き出すことでしょう。
筆者は未だ40代半ばですが、私が60歳を迎える2030年頃には、完全な自動運転車によって目的地に移動できるようになると期待しています。
完全自動運転車を拒否?高齢者ドライバーの本音
先の高齢者ドライバーへの調査では、完全な自動運転を求めない人が多いそうです。
「運転支援は歓迎するが、運転操作を預けるのは嫌だ」というのが本音だそうです。年代の違いもありますし運転操作の楽しみや期待など、人によって価値観は大きく違ってきます。
保険のプロが勧める高齢者への自動運転支援車
かく言う私は、無類の自動車好きでもあり、自動車業界への関わりはとても長いのですが、正直なところ60歳を過ぎて運転に関してこだわりは無いだろうと考えています。
自動車業界、保険業界にいることも有って多くの自動車事故を見てきているので「できるだけ事故を起こさない車に乗りたい」というのが本音です。
できるだけ事故を起こさない車が最良の車と言ってはばからない筆者の価値観は、多少偏りがありますが、自動車保険のアドバイスをする立場から、「そのくらいがちょうどいい」と考えています。
高齢者ドライバーの方には、ぜひ自動運転支援の装備された車を選んでいただき、操作ミスによる事故を防いでもらいたいと思います。
自動運転支援技術で高齢者の保険が安くなる?
別の記事でも書いておりますが、自動運転技術や自動ブレーキなどが装備された車は、自動車保険の料率クラスが下がることを期待できるので、将来的には保険料が下がると期待できます。
また、追突事故を防ぎ衝突を軽減してくれるブレーキなどにより事故防止に繋がれば、ノンフリート等級のダウンも抑えることができるので安心です。
今後は、装備が標準化されていく方向ですが、オプション設定の場合は、ぜひ装着しましょう。
オプション価格の差を大幅に超える満足と安心が手に入れられることでしょう。事故を起こさなければ、ケガもしませんし、車も壊れません。また、保険料についての心配も最低限で済みます。
今後も増加の一途をたどる高齢者ドライバーが、その家族や地域社会に交通事故災害をもたらす要因にならないよう、自動運転支援技術の進歩と低価格化に期待しましょう。
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